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GW中に考えたこと
定理A「マリオって、深いテーマとか無くて、純粋に楽しいだけなのでいいですよね!」っていう発言は、一定の真理を含んでいる。しかし、この世には、どんなに物語の中でテーマを語ったとて、全く気にしない/気づかない/無視する観客が一定数いるのと同様、...ピエール・エテックス特集上映、コンプリート。元々、ジャック・タチ...
ピエール・エテックス特集上映、コンプリート。元々、ジャック・タチにハマりきれないこともあって、フランス喜劇に弱めの抵抗があったんだけれども、『ヨーヨー』のあまりの傑作っぷりにコンプリートの必要性を強く感じた。結果、初期二作(『ヨーヨー』『恋...東大よりも世界に近い学校 | 日野田 直彦 |本 | 通販 | Amazon
家族で吉祥寺へ。むすこが塾にいる間に、井の頭公園を歩きながら、夫婦で今後のことについて話し合う。むすこを塾に入れるか否か。丁度よいタイミングで、妻に勧められて日野田直彦『東大よりも世界に近い学校』を読んだりして考えていたことをベースに、最高...The Lost Legacy of Jazz Great Bilal Abdurahman
Bilal Abdurahmanって全然知らなかったんですが、子ども音楽の大家っぽくて、めちゃくちゃ良いですね。電子楽器の代わりにクラリネット吹いてるブルース・ハークって雰囲気。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』/崩壊していく内なる世界をつなぎとめるもの
黒い線が円を描く。ブラックホール。コインランドリーに並ぶドラム式洗濯機。不機嫌そうなボールペンの軌跡が領収書に描く円。薄暗い部屋でカラオケを楽しむ家族を映す丸い鏡(母が口を塞ぐが、それでも歌い続ける娘)。そして炭化したように見える漆黒のベー...ずーーっと迂回してきたNewJeans、もう避け切れなくなって聴...
ずーーっと迂回してきたNewJeans、もう避け切れなくなって聴いてしまった。そら、イイよ。めちゃくちゃイイと思う。なんか、全然違うところにありそうだけど、意外とPSG追ってた時のこと思い出した。センスが良くて、キャラクターも立ってて。ただ...仕事もゴリゴリに忙しいのだが、録音も超佳境に差し掛かっていて、メ...
仕事もゴリゴリに忙しいのだが、録音も超佳境に差し掛かっていて、メンバーとのやり取りもそこそこに、最近知り合ったアーティストとコンタクトを取り続けている。前に、Submithubとかで、「お前の録音はもっと洗煉させないと使い物にならん」とか「...マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』/嫌われの螺旋階段は永遠に続くのか
- 作品
- 映画
イニシェリン島の精霊
親友が口を利いてくれない。大混乱の末になんとかして理由を問いただすと「特に何かされたわけではない」。ただただ「退屈だ」と。思索と音楽の人である親友コルム(ブレンダン・グリーソン)は、ロバの話を2時間聞かされる代わりに、曲を作りたいという高邁...Pavement Japan Tour 2023@TOKYO DOME CITY HALL
グルーヴって、若い時に聴いていた音楽によって、身体の中に結ばれるのだな。10年ぶりに来日したPavementが1stアルバムの名曲「In The Mouth A Desert」を演奏し、身体を揺らしていた時に恍惚とそう思った。ダマのような音...配信終了の波が押し寄せてきて、仕事が小忙しいのと合わせてもう大変...
配信終了の波が押し寄せてきて、仕事が小忙しいのと合わせてもう大変。睡魔と戦いながら、英語字幕でギィ・ジルを観たりしてる。ギィ・ジル。去年か一昨年に特集上映があった時に見逃してしまっていたので今回が初鑑賞なんだが、すっごく好みの映画監督。しか...mmm+古川悠木@Rhythm and Betterpress
森下駅は最寄りの駅から一本で、少し時間かければ文庫本読みふけっているうちに着くような場所だということに気づく。「Rhythm and Betterpress」という活版印刷の工房兼立ち飲み屋という魅力的な場所で、旧知の鈴木くんがDJを務め、...母が亡くなった。糖尿病から来る心筋梗塞と脳梗塞のダブルパンチで、...
母が亡くなった。糖尿病から来る心筋梗塞と脳梗塞のダブルパンチで、生き延びることが奇跡だった7年前。父の介護を受ける母のことを想いながら、僕らはこれから確実に訪れる「死」を7年かけて受け入れていった。ゆっくりと、着実に、影を薄くしていく母。葬...『ランジャタイのがんばれ地上波!』年始ブチギレ王決定戦がすごかっ...
『ランジャタイのがんばれ地上波!』年始ブチギレ王決定戦がすごかった。「大凶の擬人化」一発で口笛なるおをマットに沈めた元赤もみじ村田が、ネコニスズ・ヤマゲンに完封される様に震えた。この様子が見つかったら、ヤマゲンあっという間に売れるはず。今年...ヘビーなのが終わったので、オードリー若林『ナナメの夕暮れ』を挟ん...
ヘビーなのが終わったので、オードリー若林『ナナメの夕暮れ』を挟んでる。もうすぐ読了。関係ないけど、2008年のM-1の前年かその前から、オードリーに熱狂的にハマり、『3600』聴いたりしていて、M-1の敗者復活の日は朝からソワソワして恒例の...半年に一度の授業参観日。むすこのクラスは図工。一人称が「おれ」に...
半年に一度の授業参観日。むすこのクラスは図工。一人称が「おれ」になっているだけで、基本、家にいるのと全く変わらない様子で粘土をこね続けるむすこが好ましい。大声で『Undertale』の音楽を歌い、隣の娘(幼稚園からの同級生)に話しかけ、豪快...一曲歌詞が完成した。やっぱり辞書って素晴らしい。家族で、ご近所の...
一曲歌詞が完成した。やっぱり辞書って素晴らしい。家族で、ご近所の友人宅に遊びに行く。同じ病院で一日違いで子どもが生まれたママ友経由のパパ友なんだけど、音楽とかゲームが好きで、映画の話も出来るので普通に仲良く遊んでる。いつも通り、超美味いパク...仕事がバタバタしすぎてた。去年のBandcampの『BEST H...
仕事がバタバタしすぎてた。去年のBandcampの『BEST HIP-HOP of 2022』選がかなりよくて、大半を追って聴いている。Pitchforkのベストとか、なんであんなにつまらなくなったかね!と、腹立たしい思いでいっぱいだった俺...仕事でトラブって今だに寝れないの、これ久しぶり。とは言え、自分に...
仕事でトラブって今だに寝れないの、これ久しぶり。とは言え、自分に出来るのはサポートからの返信に速攻打ち返す…ぐらいなので、やきもきが続く。かつて、一人で十数案件抱えていた頃は、これが日常だった。あれは、肉体も精神もすり減らす、よ。聴いていた...週末は雨模様だったので家に籠もって読書。家族で観た『ナイブズ・ア...
週末は雨模様だったので家に籠もって読書。家族で観た『ナイブズ・アウト:グラスオニオン』『エノーラ・ホームズの事件簿2』はどちらも前作を越えていて大満足。夜は紅茶を飲みながら、My French Film Festival 2023のPrim...『ナイブズ・アウト:グラスオニオン』/段取り良すぎ系ミステリー
- 作品
- 映画
ナイブズ・アウト:グラスオニオン
一言話しただけでネタバレに直結しそうな、まさに新型燃料のような危険物なので物語には一切触れない。「確かに面白いが、色々難あり」だった前作『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の100倍は良かった。勝因はシンプルに脚本。まさに「玉ねぎ」の...毎朝バスケをやっている近所の公園で、同じ時間帯にゲートボールをプ...
毎朝バスケをやっている近所の公園で、同じ時間帯にゲートボールをプレイしている老人たちがいる。バスケはフープがあるので、よほど混んでいない限り、他のスポーツをプレイしている人たちがそこに近寄ることは滅多になく、バスケットのコートと、彼彼女らセ...『ウィロー』最終話観てから『ペコロスの母に会いに行く』。どちらも...
『ウィロー』最終話観てから『ペコロスの母に会いに行く』。どちらも色々言いたいことがある、という前提で「大変よろしかった」。これぐらいの温度感で良いのかもな。『ウィロー』は周りから評判を全く聴かないので、続編がきちんと作られるかが大変不安です...仕事も一山越えたところで、夜は絶妙に映画一本見切るほどの時間もな...
仕事も一山越えたところで、夜は絶妙に映画一本見切るほどの時間もなく、音楽を作ってコードを書いていると過ぎていってしまう。なので、Gyao!で見逃していたピンク映画を観始めた。今日はサトウトシキ監督『愛欲温泉 柔肌のぬめり』。若かりし頃の川瀬...Ghost Riders, by Various Artists
1965〜74年に録音された(趣味的、というよりは地理的な)アウトサイダーたちによる、17曲のバラードが収められてる。むせ返るような青臭さ、ファルフィッサの音色もぬるい湿気の中に後退して、初夏の気怠いムードが立ち込める。ライナーノートに依る...始業式。むすこの10歳の年に終わりが近づき、11歳の年が始まって...
始業式。むすこの10歳の年に終わりが近づき、11歳の年が始まってしまう。一年一年が短く尊いのを実感する。一秒も無駄にしたくない。ので、今日もクリアしていなかった『Cuphead』を一緒に猛烈な勢いでプレイする。ここのところ毎日、1ステージ以...今日は下高井戸シネマで『暴力脱獄』と『アムステルダム』を。名優ポ...
今日は下高井戸シネマで『暴力脱獄』と『アムステルダム』を。名優ポール・ニューマン特集って言われた時は「何で?今?」とびっくりしつつも、嬉しかった。父は酒で酔っ払うと、決まってポール・ニューマンとカサヴェテスの話をする。個々のタイトルは正確に...「Cut this wire」と言えば、導火線の事だ。分かってい...
「Cut this wire」と言えば、導火線の事だ。分かっていたのに、次いで言葉が出なかった。「Which one is true」。日に日にゴッサムと化していく渋谷の街を縦に横切りながら。「ここももうやられたか」。ゾンビ映画で感染が拡大...朝から家族で東京近代美術館『大竹伸朗展』。大竹さんの展覧会は大小...
朝から家族で東京近代美術館『大竹伸朗展』。大竹さんの展覧会は大小含めて三回目だが、見るたびにどんな作家なのか不明瞭になってくる。本当に不思議。美的には打率50%ぐらいだけど、圧倒的な創作量によって、絶対数がイカついことになっている。今日は、...今年はいよいよ映画館に行く回数を減らして創作に充てなければ、とい...
今年はいよいよ映画館に行く回数を減らして創作に充てなければ、という気持ちを新たにする。ストイシズムとはまた別に、配信で見逃しているものも凄く多いので…。しかし、詩作して、録音していると、夜は更けていく。当然のことながら。なので、外に出た時も...ここ数日、歌詞を書く作業を続けている。英詞を書くようになってから...
ここ数日、歌詞を書く作業を続けている。英詞を書くようになってから、英語と詩の勉強しながらも、実際のところ割と五里霧中でやってたんだが、ようやくちょっと上達したような気がした。描きたい世界が、少し解像度を増した。そのために大変役に立っているツ...“悪口漫才”への反応から考える、お笑いとコンプライアンス - QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
「笑いが人を傷つけるか」って、もうそら人それぞれ、としか返しようがない。なので、こうして「全然おもしろくなかった」と言うのであれば、まあそらそうだろうな、と。今回のM-1のウエストランド、俺は軽く揶揄される側の立ち位置(お笑い分析する痛いフ...SUBLIMINAL BIG ECHO, by Various Artist
LOS APSON?のサイトにて。まあ、予想の付くメンツによる、予想の付くコンセプトのコンピレーションアルバム…とか思って、大して期待もせず再生してみると、各人見事に明後日の方向から「DUB」を咀嚼しててワクワクする作り。Hair Styl...仕事初め。昨日は、基本のんびりと過ごしつつ、『あら-1GP 20...
仕事初め。昨日は、基本のんびりと過ごしつつ、『あら-1GP 2022』『新春!幻の優勝ネタ祭り』を観る。あらびき団でスルメに勝てる芸人は存在しないと思う。実際、生で観た時も、彼は何一つ出来ていなかった。「出来ていないことを笑う」という状況で...『このテープもってないですか?』
大森時生さん(『Raiken Nippon Hair』『Aマッソのがんばれ奥様ッソ!』)関連の新作ってことで大期待して鑑賞。めちゃくちゃ面白い。面白いけど、全く解らない。いや、解る必要はない、必要なのは理解ではなく、体験。ただただ不気味な3...東京に帰る。正月は『爆笑ヒットパレード2023』と『ドリーム東西...
東京に帰る。正月は『爆笑ヒットパレード2023』と『ドリーム東西ネタ合戦2023』を観る。『ドリーム東西ネタ』の博多華丸・大吉と、ビスケットブラザーズが大変良かったです。ビスブラは、余力を残したチャンピオン。KOC優勝以降、数回ネタを観たが...ミシェル・フランコ『ニューオーダー』/風刺の底に淀むポエジー
- 作品
- 映画
ニューオーダー
暴力革命が成し遂げるのは、平等や平和ではなく、次の抑圧である。円環が見事に閉じる結末に、思わず声が出た。ミシェル・フランコの新作は、ディストピアSFの皮をまとった風刺映画。メキシコで軍部を中心とした革命が起こるが、金持ちから末端の人間まで、...フィル・ティペット『マッドゴッド』
- 作品
- 映画
マッドゴッド
原始、土塊に命を吹き込むのは神の仕事だったのだから、「アニメーター」とはまさに「神」であるに違いないというのは単純な一次方程式であるが、ことにその変数xに入るのがかのフィル・ティペットなのだとしたら、それは正しく「マッドゴッド」と呼称せざる...杉田協士『春原さんのうた』/大事な疵を迂回する
- 作品
- 映画
春原さんのうた
中心にあるものを迂回し続ける。とにかく、周りに気を使われている主人公さっちゃん。具体的に明かされることはない、彼女の抱える心の闇。しかしそれは適切に提示されているので、いつか必ずわかるはずなのだ。連絡もなしに度々訪れるたけしおじさん、おばさ...M-1グランプリ2022 準々決勝
- 作品
- お笑い
M-1グランプリ
ご存知の通り、準々決勝のネタ動画は、勝ち上がれなかった組のものしかアップされない。なので必然的に、決勝・準決勝進出者のネタより少し劣るものだけが上がっているはずなんだけど、まあ色褪せないよね。遜色ない。この全体的な漫才のクオリティは尋常じゃ...マカヤ・マクレイヴンの「In These Times」
「現代のジャズについて考えたい、ちゃんと聞きたい」という気持ちはあれどなかなか好みの作品に出会えずいたんですが、ようやく。Makaya McCravenの2022年作。大量のジャムセッションに執拗な編集を行って組み上げられた寄木細工のように...アレックス・ガーランド『MEN』(ネタバレ)
- 作品
- 映画
MEN 同じ顔の男たち
「夫を目の前で失った傷心を癒やすため、主人公ハーパー(ジェシー・バックリー)が訪れた風光明媚な小さな村の住民が、みんな同じ顔だった…」というあらすじに惹かれて観たものの、では結局なんだったのか、と鑑賞後に問われると、言葉に詰まる所があるアレ...Beyoncéの「RENAISSANCE」
どこを切っても強力なビヨンセの新作。音の粒度や強度が完全にアンダーコントロールで、久しぶりに強烈に「アルバム」ということを意識させられた。クリスティ・プイウ『ラザレスク氏の最期』/たらい回し医療の地獄
- 作品
- 映画
ラザレスク氏の最期
腹痛と、それ以上の頭痛を電話越しに訴えるラザレスク氏。「腸の潰瘍だと思う…」という過去の手術がもたらす憶測が、頭痛を過小評価させる。見るからに埃と垢に塗れた小さなアパートで老齢の一人暮らし。娘はカナダに暮らし、親戚は遠くに住む姉一人。ラベル...M-1グランプリ2022 三回戦
- 作品
- お笑い
M-1グランプリ
今年も無事、三回戦動画を全部見終えたので、個人的にあんま知らなかったり、周りで評判聞かないな…って思ったコンビの動画について、書き残しておきます。ご承知の通り、お笑いの好みってあまりにも多様過ぎるのでドンピシャで参考になるというは低い…とい...レザーフェイス - 悪魔のいけにえ
- 作品
- 映画
レザーフェイス - 悪魔のいけにえ
この数人の精神病みの中に、あの「ソーヤ家のレザーフェイス」がいるはず。だが、誰かはわからない…という状況を楽しむホラー映画。レザーフェイス役のヤツ(それが誰かを当てるのがこの映画の醍醐味なので特に名は秘す、が候補が極端に少なすぎてすぐにバレ...ヨルゴス・ランティモス『アルプス』
- 作品
- 映画
アルプス
カメラに背を向けた主人公が前進する直前、ちょうど一息分ぐらい。スッと間を置いてから時が動き出す。ヨルゴス・ランティモス監督作『アルプス』。謎のグループ「アルプス」に所属するメアリーが、現実との境を見失う(メアリーを演じるのは『籠の中の乙女』...Dry Cleaning 来日公演 | indienative
Dry Cleaning来日すると知って、強烈に迷い中。彼女らのTiny Desk見てたら、The Fallのポスター貼ってあって、色々合点が行った。C.O.S.A. - POP KILLERS feat. ralph
C.O.S.A.のDrill、すげーカッコいいな。ralphの低音ラップとの相性が異様に良い、という発見もありつつ、服装とかダンスでいつの間にかかわいさ出ちゃってるのも含めて最高。サポート・ザ・ガールズ
- 作品
- 映画
サポート・ザ・ガールズ
『FUNNY HA HA』アンドリュー・ブジャルスキー監督作。フーターズみたいな露出多めのファミレスに毛が生えたような田舎のスポーツバーを舞台に、敏腕マネージャーのドタバタ切り盛り日誌を笑いながら観ていたら、徐々に立ち込める暗雲。女性蔑視、...Andy Shauf - "Wasted On You"
2023年の新作『Norm』から、先行で「Wasted On You」のMV。Owen Pallett的なストリングス使いは、室内オルタナティブポップスの正当進化として、この上なく妥当な成果を感じる。アルバムに期待が高まりますな!『ミス・バイオレンス』/命との距離の描き方
- 作品
- 映画
ミス・バイオレンス
11歳の誕生日を迎えた少女アンゲリキは、祖父母と母エレニ、兄妹達との誕生日パーティーの真っ最中に、うっすらと笑みを浮かべたまま、バルコニーから身を投げる。彼女の死によって児童福祉局から目をつけられた家族。子どもや孫たちを奪われてしまわぬよう...アティナ・ラヒル・ツァンガリ『アッテンバーグ』/骸となった街で
- 作品
- 映画
アッテンバーグ
空想と現実の間には、ぼんやりとしてはいるが、境界線のようなものが確かにある。そして、たびたびその境界線は、いつの間にか現実に蝕まれている。冒頭で映し出される、主人公マリーナと親友ベラによる女性同士の濃厚なキス。実際には経験豊富なベラによる「...コゴナダ『アフター・ヤン』/やがて訪れる決定的な不具合に向けて
- 作品
- 映画
アフター・ヤン
公式サイトに引用された「まるで小津安二郎監督が、アメリカのSF映画を作ったかのような味わい」というハリウッド・リポーターの評が的を射ている。『コロンバス』コゴナダ監督の最新作。絶妙な近未来設定や、舞台装置(金魚鉢型の手提げバッグとか、微妙に...カエターノ・ヴェローゾ & ガル・コスタの「Domingo」
ガル・コスタ…。最新作も素晴らしかったので、やっぱ現役感ある人だと訃報もショック…。ご冥福をお祈りする意味で、今日は『Domingo』。大好きな盤。Rat Tallyの「In My Car」
女性SSWによるオルタナギターロックの牙城をSnail Mailだけに独占(…いや、他にも山ほどいるけど)させまいと、鼻息荒くDigする者共の前に、Rat Tallyあり。いささかオールドスクールが過ぎるきらいがあれど、かなり強力なファース...零士、ごめんね。機嫌直して - TwitCasting
配信終了した後で書くような話じゃないけど、『零士、ごめんね。機嫌直して』すごく良かった。相方がボケ続けていると機嫌を損ねてしまうカナメストーン零士の機嫌を直すために、相方のカナメストーン山口を始めとする精鋭が集まったライブ。足払い、韓国進出...Sunburned Hand of the Manの「Headdress」
こんな世の中でも、Sunburned Hand of the Manは、いつも通りSunburned Hand of the Manとしか言いようのない音楽やってて、最高だよな。まじチンタラしてて、不定形で、不穏なだけの、超かっこいい音楽。...10/26 [京都] ガーベラガーデン/アーネスト/にぼしいわし【3回戦全ネタ】
「食いしん坊やあわてんぼうの類の?魚ん坊って言われてるんですか?」にぼしいわしの水族館ネタ、素晴らしい。好きだし面白いのは面白いが、ここ数年、何か足りない感が否めなかったんだけど、今回邪念なく心から笑えてよかった。こういう、元々良い感じで結...アンドリュー・ブジャルスキー『Funny Ha Ha』/流されて生きる俺たちの、見えない壁としての社会
- 作品
- 映画
Funny Ha Ha
「マンブルコアのゴッドファーザー」ことアンドリュー・ブジャルスキーによる、マンブルコア最初期の伝説的な一本。公式に買えるVimeoの動画だと字幕もないので躊躇していたんだけど、もごもごすぎてネイティブでも聞き取れないぐらいらしいから、もうこ...Arctic Monkeysの「The Car」
アレックス・ターナーがリーゼントおじさん化した以降で一番好きかもしれん、Arctic Monkeysの新作。ストリングスを大々的に導入した流麗さ、洗練度を高めていく方向は引き続き、しかしながら白人音楽〜ロックンロールとも、黒人音楽〜ファンク...Svitlana Nianio & Oleksandr Yurchenkoの「Знаєш як? Розкажи」
Svitlana Nianio & Oleksandr Yurchenkoによる95年作。チープで不穏な物音系ノイズと、フォルクロアマナーに則ったギターやキーボードの旋律に、伸びやかな歌が乗る名盤。絶妙なせめぎ合いの末に、ノイズが若...10/26 [京都] 空前メテオ/若葉のころ/マイスイートメモリーズ【3回戦全ネタ】
見たことないぐらい豪快にネタを飛ばしたので落ちたのは仕方ないと思うんだけど、空前メテオの今年のネタ、引き続きヤバかった。「あれ?去年のネタってなんだっけ?コンビニの店員が毎日少しずつ大きくなるんだっけ?」「いや、2mを超えたら、ファミマがロ...Arrrepentimiento - Rewind the Sun
「太陽を巻き戻せ」。独りごちたそばから、擬態した誇大妄想の種がポロポロと零れ落ちる。晩夏の部屋に一人、夕日が朝日に変わり、僕の時間は所在なさげに壁奥隅に小さく固まっている。Arrrepentimientoのシングル「Rewind the S...Netflix『呪詛』/収奪された記憶を巡る抵抗の記録【ネタバレ考察】
- 作品
- 映画
呪詛
6〜7年ぐらい前、沖縄の小さな離島で、観光地からちょっと離れたところにある小路を進んだところ、不思議な空間に入り込んでしまったことがある。不揃いな石が数個ずつまとめられた「塔」が、ぐるり並べられていたその光景に、誰かが(俺かもしれない)「入...バーバラ・ローデン『WANDA』/主体を取り戻す獣
- 作品
- 映画
WANDA/ワンダ
猛り狂う雑踏。漂白されていないノイズが、70年代の街の空気を煮出す。画素の粗い16mmフィルムの質感。役者は揃いも揃ってほぼほぼ大根。いかにも典型的なBフィルムの風情で、だからこそ、型の定着しない魅力に溢れている。早逝した映画作家バーバラ・...『マルケータ・ラザロヴァー』/白黒のキャンバスに像を結ぶ野蛮なリアリズム
- 作品
- 映画
マルケータ・ラザロヴァー
雪の舞う極寒の地を往く伯爵一行が、物も言えぬ白痴に見える片腕の男とすれ違うと、やおらスリングを取り出したその男の奇襲に遭い、伯爵の息子クリスティアンとその従者が捕らえられてしまう。略奪者であるコズリーク一家。彼らを捕らえんと復讐に燃えるビヴ...Five Ainu Artists Revitalizing Indigenous Japanese Music
Bandcamp Dailyで、アイヌ音楽特集。海外の人から見ると辺境フォルクロワの領域だし、実際その通りなんだけど、現代アイヌ音楽を改めて聴くと、ポストロック以降のアプローチも聞き取れて興味深い。彼らにとっての神であるところの獣の声なんか...ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』/ロッキーを見習って欲しい
- 作品
- 映画
トップガン マーヴェリック
大ヒットおめでとうございます。多くの映画ファンを敵に回すような感想で恐縮なんだけど、個人的には全く合わなかった。マーヴェリックの成長しなさを「なんとなく」肯定してしまったように見える前作の体育会系ノリが心底合わなかったので、その直感に従って...青山真治『EUREKA/ユリイカ』/円環と失われた声を求めて
- 作品
- 映画
EUREKA/ユリイカ
青山真治さんが亡くなるという悲しい出来事がきっかけで、あの『ユリイカ』を映画館で観る機会を得た。2000年代初頭の東京(周辺)で20代を過ごした皆さん同様、僕らも少なからずジム・オルーク狂だったので、『ユリイカ』を観ることは当然必須であった...ラドゥ・ジュデ『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』/諧謔と皮肉に満ちたコメディの全方位砲火
- 作品
- 映画
アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ
真摯な批評の断片が積み重っているだけなのに、ここまで圧縮して出力すると、途端に悪意の塊としてしか捉えられなくなる。容赦も忖度もなく、雪崩のように襲いかかってくる批評が、そのスピードと濃度故にコメディに見えてくるような現象。ルーマニアの映画監...濱口竜介『偶然と想像』/取り急ぎ、俺は佐々木を火炙りに処す
- 作品
- 映画
偶然と想像
濱口竜介監督による文体練習のようなオムニバス作品。偶然が織りなしたパンチの強い三角関係『魔法(よりもっと不確か)』。浮世離れした大学教授を誘惑しようと、彼が芥川賞を獲った作品の淫らな一節を読み上げる女性を描いた『扉は開けたままで』。インター...Compilación I, by CRISÁLIDA SÓNICA
1997年ペルーのポストロックシーンのバンドをコンパイルした編集盤。あの当時の、サイファイとローファイが入り混じった浮世離れした感覚と、それでもこれを何と名付けるべきか、形容し難い独自の感覚があって、こういうローカリティが生んだ「差異」みた...I’m the Sky: Studio and Demo Recordings, 1964–1971, by Norma Tanega
Norma Tanegaの未発表デモを含む編集盤。気持ち良いアルペジオに声。数曲以外、Norma Taneda自身のことは何も知らなかったんですが、2枚のアルバムを発表、Dusty Springfieldに楽曲を提供するなど、華々しく音楽家...Yegor Letov
『インフル病みのペトロフ家』があまりに良い、特に音楽が、というか、この映画自体がほぼ音楽である…という思いから、サウンドトラックを漁っていて出くわしたイゴール・レトフ。『LETO』におけるKinoも、日本ではあまり知られていないポスト・パン...キリル・セレブレニコフ『インフル病みのペトロフ家』/超現実が背骨を持ったら
- 作品
- 映画
インフル病みのペトロフ家
試しに一旦、この混沌とした物語の説明を試みたい。インフルエンザに罹っている主人公ペトロフが、激しく咳き込みながらトロリーバスで移動している。途中、政治家を射殺するミッションに参加させられたり、文字通りの「高熱の時に見る悪夢」のように脈絡のな...マイク・ミルズ『カモン カモン』/僕たちの関係に録音がもたらす「永遠性」
- 作品
- 映画
カモン カモン
母を亡くして以来関係がギクシャクしていた妹に連絡を取ると、音楽家である彼女の夫が過度のプレッシャーに神経をやられていて、彼の世話をするために息子のジェシーを一時的に誰かに預けなければいけないと言う。ラジオ番組のスタッフとして働く主人公ジョニ...ディノチェンゾ兄弟『アメリカ・ラティーナ』/噛み合わない歯車が誘う狂った世界
- 作品
- 映画
アメリカ・ラティーナ
美しい妻と二人の娘を持つ歯科医のマッシモは、自宅の地下室で見てはいけないあるものを発見する。「やったのは誰なのか」というフーダニットと、「狂っているのは世界か俺か」というボーダーラインミステリーが並走し、マッシモの心を蝕んでいく。一度観てお...7月8日(金)公開/映画『X エックス』第一弾予告映像
『サクラメント 死の楽園』が全然おもしろくなかったのに、傑作『サプライズ』に俳優として出てるから何故か応援してるタイウエスト監督作品『X エックス』7月8日公開ですってよ。A24制作で、ミア・ゴス出てるっつうだけで、絶対観るやつ。この映像、...クリスティアン・ペツォールト『治安』/15歳の灰色の心
15歳のジャンヌの家族は、詳細不明の過去の罪から逃れるために、居場所を転々とするその日暮らしの生活を送っている。脛に傷持つ身が故、レストランで同世代の男子と喋るなど、少々目立つような行動を取っただけで「ちょっとの辛抱が何故出来ない?」とかあ...「淫らな目線」についての物語/ジャック・オディアール『パリ13区』
- 作品
- 映画
パリ13区
「目線」、それも(劇中で言うように)「淫らな目線」についての物語。四人の男女が、「恋愛」とか「セックスそのもの」を中心に車座で囲み、それらとどのように距離を取るべきなのか逡巡し続ける。あるものは極端に積極的で、あるものは色々な事情から消極的...Horsegirl - "Anti-glory" (Official Music Video)
前進前進の末につんのめって打ち身…みたいな曲が作りたくて七転八倒。スタジオで合わせた曲をこねくり回して、手が届きそうなのに届かないアウラのような空気、発行されない手形。むーーーーん、とか唸って、はて、私は何を理想としているんだっけ?とか思っ...虚飾の影に苦虫を噛み潰して/Amalia Ulman『エル・プラネタ』
- 作品
- 映画
エル・プラネタ
Amalia Ulman初監督作は、彼女の有名なアート・パフォーマンス「Excellences & Perfections」のエンディングに流れる長い葬送曲のように聞こえた。トラジコメディの、「トラジ」にも「コメディ」にも振り切らな...modern tourism, by feeble little horse
ピッツバーグのインディバンドfeeble little horse。2021年の作品にB-Side追加した本作は、令和の時代にあるまじき、裏笑いとか周回遅れとかそういう小賢しいこと一切なしのオルタナギターバンドで清々しくて涙した。でも、絶妙...男と鋼と女と/ジュリア・デュクルノー『TITANE/チタン』
- 作品
- 映画
TITANE/チタン
ここまで異常な映画を観たのは初めてかもしれない。かなりの覚悟を胸に深夜の映画館に向かったのに、こんな事態になってしまって困惑している。かつて観たことがないだけではなく、ジュリア・デュクルノー以外の作り手がこんな映画を撮ることは、これからもな...Orange Is The New Black, by Robert
英国のラッパーRobertによる、フォーク、サイケ、プログレッシブ・ロックからのサンプルで構築された、よくわかんねえけど超渋いデビューフルアルバム。投獄中に温めたリリックとアートワークのアイディアは、インドの指導者Oshoに影響を受けている...イタリア映画祭2022
うわっ!最高じゃん『イタリア映画祭2022』。マルコ・ベロッキオ『マルクスは待ってくれる』(2021年!?)や、ジョナス・カルピニャーノ『キアラへ』(日本初上映?)、ディンノチェンツォ兄弟など、「イイ」ラインナップ。MUBIで配信しているう...