- 記事
- プロフィール
Five Ainu Artists Revitalizing Indigenous Japanese Music
Bandcamp Dailyで、アイヌ音楽特集。海外の人から見ると辺境フォルクロワの領域だし、実際その通りなんだけど、現代アイヌ音楽を改めて聴くと、ポストロック以降のアプローチも聞き取れて興味深い。彼らにとっての神であるところの獣の声なんか...ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』/ロッキーを見習って欲しい
- 作品
- 映画
トップガン マーヴェリック
大ヒットおめでとうございます。多くの映画ファンを敵に回すような感想で恐縮なんだけど、個人的には全く合わなかった。マーヴェリックの成長しなさを「なんとなく」肯定してしまったように見える前作の体育会系ノリが心底合わなかったので、その直感に従って...青山真治『EUREKA/ユリイカ』/円環と失われた声を求めて
- 作品
- 映画
EUREKA/ユリイカ
青山真治さんが亡くなるという悲しい出来事がきっかけで、あの『ユリイカ』を映画館で観る機会を得た。2000年代初頭の東京(周辺)で20代を過ごした皆さん同様、僕らも少なからずジム・オルーク狂だったので、『ユリイカ』を観ることは当然必須であった...ラドゥ・ジュデ『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』/諧謔と皮肉に満ちたコメディの全方位砲火
- 作品
- 映画
アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ
真摯な批評の断片が積み重っているだけなのに、ここまで圧縮して出力すると、途端に悪意の塊としてしか捉えられなくなる。容赦も忖度もなく、雪崩のように襲いかかってくる批評が、そのスピードと濃度故にコメディに見えてくるような現象。ルーマニアの映画監...濱口竜介『偶然と想像』/取り急ぎ、俺は佐々木を火炙りに処す
- 作品
- 映画
偶然と想像
濱口竜介監督による文体練習のようなオムニバス作品。偶然が織りなしたパンチの強い三角関係『魔法(よりもっと不確か)』。浮世離れした大学教授を誘惑しようと、彼が芥川賞を獲った作品の淫らな一節を読み上げる女性を描いた『扉は開けたままで』。インター...Compilación I, by CRISÁLIDA SÓNICA
1997年ペルーのポストロックシーンのバンドをコンパイルした編集盤。あの当時の、サイファイとローファイが入り混じった浮世離れした感覚と、それでもこれを何と名付けるべきか、形容し難い独自の感覚があって、こういうローカリティが生んだ「差異」みた...I’m the Sky: Studio and Demo Recordings, 1964–1971, by Norma Tanega
Norma Tanegaの未発表デモを含む編集盤。気持ち良いアルペジオに声。数曲以外、Norma Taneda自身のことは何も知らなかったんですが、2枚のアルバムを発表、Dusty Springfieldに楽曲を提供するなど、華々しく音楽家...Yegor Letov
『インフル病みのペトロフ家』があまりに良い、特に音楽が、というか、この映画自体がほぼ音楽である…という思いから、サウンドトラックを漁っていて出くわしたイゴール・レトフ。『LETO』におけるKinoも、日本ではあまり知られていないポスト・パン...キリル・セレブレニコフ『インフル病みのペトロフ家』/超現実が背骨を持ったら
- 作品
- 映画
インフル病みのペトロフ家
試しに一旦、この混沌とした物語の説明を試みたい。インフルエンザに罹っている主人公ペトロフが、激しく咳き込みながらトロリーバスで移動している。途中、政治家を射殺するミッションに参加させられたり、文字通りの「高熱の時に見る悪夢」のように脈絡のな...マイク・ミルズ『カモン カモン』/僕たちの関係に録音がもたらす「永遠性」
- 作品
- 映画
カモン カモン
母を亡くして以来関係がギクシャクしていた妹に連絡を取ると、音楽家である彼女の夫が過度のプレッシャーに神経をやられていて、彼の世話をするために息子のジェシーを一時的に誰かに預けなければいけないと言う。ラジオ番組のスタッフとして働く主人公ジョニ...ディノチェンゾ兄弟『アメリカ・ラティーナ』/噛み合わない歯車が誘う狂った世界
- 作品
- 映画
アメリカ・ラティーナ
美しい妻と二人の娘を持つ歯科医のマッシモは、自宅の地下室で見てはいけないあるものを発見する。「やったのは誰なのか」というフーダニットと、「狂っているのは世界か俺か」というボーダーラインミステリーが並走し、マッシモの心を蝕んでいく。一度観てお...7月8日(金)公開/映画『X エックス』第一弾予告映像
『サクラメント 死の楽園』が全然おもしろくなかったのに、傑作『サプライズ』に俳優として出てるから何故か応援してるタイウエスト監督作品『X エックス』7月8日公開ですってよ。A24制作で、ミア・ゴス出てるっつうだけで、絶対観るやつ。この映像、...クリスティアン・ペツォールト『治安』/15歳の灰色の心
15歳のジャンヌの家族は、詳細不明の過去の罪から逃れるために、居場所を転々とするその日暮らしの生活を送っている。脛に傷持つ身が故、レストランで同世代の男子と喋るなど、少々目立つような行動を取っただけで「ちょっとの辛抱が何故出来ない?」とかあ...「淫らな目線」についての物語/ジャック・オディアール『パリ13区』
- 作品
- 映画
パリ13区
「目線」、それも(劇中で言うように)「淫らな目線」についての物語。四人の男女が、「恋愛」とか「セックスそのもの」を中心に車座で囲み、それらとどのように距離を取るべきなのか逡巡し続ける。あるものは極端に積極的で、あるものは色々な事情から消極的...Horsegirl - "Anti-glory" (Official Music Video)
前進前進の末につんのめって打ち身…みたいな曲が作りたくて七転八倒。スタジオで合わせた曲をこねくり回して、手が届きそうなのに届かないアウラのような空気、発行されない手形。むーーーーん、とか唸って、はて、私は何を理想としているんだっけ?とか思っ...虚飾の影に苦虫を噛み潰して/Amalia Ulman『エル・プラネタ』
- 作品
- 映画
エル・プラネタ
Amalia Ulman初監督作は、彼女の有名なアート・パフォーマンス「Excellences & Perfections」のエンディングに流れる長い葬送曲のように聞こえた。トラジコメディの、「トラジ」にも「コメディ」にも振り切らな...modern tourism, by feeble little horse
ピッツバーグのインディバンドfeeble little horse。2021年の作品にB-Side追加した本作は、令和の時代にあるまじき、裏笑いとか周回遅れとかそういう小賢しいこと一切なしのオルタナギターバンドで清々しくて涙した。でも、絶妙...男と鋼と女と/ジュリア・デュクルノー『TITANE/チタン』
- 作品
- 映画
TITANE/チタン
ここまで異常な映画を観たのは初めてかもしれない。かなりの覚悟を胸に深夜の映画館に向かったのに、こんな事態になってしまって困惑している。かつて観たことがないだけではなく、ジュリア・デュクルノー以外の作り手がこんな映画を撮ることは、これからもな...Orange Is The New Black, by Robert
英国のラッパーRobertによる、フォーク、サイケ、プログレッシブ・ロックからのサンプルで構築された、よくわかんねえけど超渋いデビューフルアルバム。投獄中に温めたリリックとアートワークのアイディアは、インドの指導者Oshoに影響を受けている...イタリア映画祭2022
うわっ!最高じゃん『イタリア映画祭2022』。マルコ・ベロッキオ『マルクスは待ってくれる』(2021年!?)や、ジョナス・カルピニャーノ『キアラへ』(日本初上映?)、ディンノチェンツォ兄弟など、「イイ」ラインナップ。MUBIで配信しているう...”正常”の鏡越しにあるサイケデリア/ジャスティン・カーゼル『ニトラム/NITRAM』
- 作品
- 映画
ニトラム/NITRAM
がらんどうの部屋で回り続けるレコードに指を添えると、音楽が不安定なピッチで空虚に鳴り、サイケデリアが黒い花を咲かせる。「やっぱり、サイケは正常の裏側にあるんじゃん!」と心で喝采を送ってしまうが、それはこの物語そのものの表象であるのだ。か細い...Éliane Radigue’s Music Without End
ARP 2500に向き合う姿を捉えた写真が超カッコいい、エリアーヌ・ラディーグの特集記事@Bandcamp。1932に生まれ(今年90歳!)、ピエール・シェフェールとピエール・アンリというミュージック・コンクレート会の二大巨頭に師事。磁気テ...ひつじねいり『食事中のスマホ』
このネタ、もう20回ぐらい観てるので、記録として残す。結成したばかりの頃に観て、バーニーズの件とかもあったので応援したい気持ちはありつつも、なんとも上手くいっていない感じがもどかしかったひつじねいりが、ついに覚醒したと思った。完成形じゃん、...Kate Bollinger - Who Am I But Someone (Official Video)
Kate Bollingerの新曲PV、超いいから観て観て。音のあしらいに顕れている古くて乾いた温もりを、120%で活かす形のレトロ風なビデオ。願わくば、この四人が本当にバンド組んでいたらなあ…って思う。この曲と、「Yards/Garden...ガンパウダー・ミルクシェイク
- 作品
- 映画
ガンパウダー・ミルクシェイク
※ 忙しい人は結論だけ読んでください「会社<ファーム>の依頼で、殺しやってます」という数秒の語りで、世界をなんとなく飲み込ませてしまう。ネオン看板風の制作会社クレジットから、モリコーネ風のテーマが流れ出した時点で鳥肌。15年前、母親と生き別...Alex Ross Perryが監督したPavement「Harness Your Hopes」のMV
公式が突然「「Harness Your Hopes」のMVを公開するよ」とか言い出したんで「はあ?なんで今?」ってビックリ。まあ『Terror Twilight』リマスター(買います)の件もあるので、そういうことかなーとか思って呑気に構えて...field anatomies, by Laura Cocks
ニューヨークのフルート奏者、Laura Cocksによるファーストソロアルバム。各曲コラボレーターを替え、編成も手法もフルートの使い方すらバラバラで実験的な工夫の数々は、楽曲としての完成度もマチマチながら、時折奇跡のような結実の瞬間が顔を覗...『THE BATMAN』狂人の瀬戸際で戦う新しいブルース・ウェイン
- 作品
- 映画
THE BATMAN - ザ・バットマン
ゴッサム・シティの影に潜む「バットマン」の忍び寄る恐怖。漆黒の背景を覆い尽くす深紅の文字「THE BATMAN」と、続く重厚な冒頭の恐怖描写を観て、鑑賞の心構えを決めた。土砂降り。画面越しに感じる湿気だけで相当に鬱々としてくる気分は、その世...四季煲坊
『黄金の定食』に出てくる定食屋はどこも魅力的なんだけど、調べたら職場の近所だったので行ってみた中華料理屋「四季煲坊」。目当ての「麻婆豆腐あんかけ焼きそば」には、山椒の効いた麻婆豆腐が乗っていて、その下がかた焼きそば。かた焼きそばが嫌いな人間...Raiken Nippon Hair 20101112 QUIZ in Nerawari
あの傑作モキュメンタリー『がんばれ奥様ッソ!』のチームが手掛けたという、テレビ東京の若手映像グランプリエントリー作『QUIZ in Nerawari』が噂通りとんでもねえ怪作で、興奮に拳握りしめました。異国のテレビ番組を抜き出した違法動画の...映画「湖のランスロ」「たぶん悪魔が」予告編(監督:ロベール・ブレッソン )
この予告編、なんかすげえよな。オリジナルのものを使いながら、攻めた編集でブレッソンのミニマリズムに真正面で取り組んでいる、キレッキレの予告編。映画館で観た時、大変ぎょっとしました。ブレッソン監督2作特集上映が、3/11から開始。俺は前売チケ...Fiscal, Remote, Distilled, by Blanche Blanche Blanche
昨年出たPerfect Angels『Exit from the Ultra-World』の出鱈目ブラジリアンっぷりが最高すぎて俺の脳内に確固たる爪痕を残した、マルチインストゥルメンタリストZach Phillipsによる無数のプロジェ...wet circuits, by Cloning
White SunsのメンバーDana MatthiessenによるソロプロジェクトCloningの新作。爆速で駆け抜ける耳破壊系サウンドを、巧妙に再構築する術に長けた何某かのグリッチミュージック。手練のサウンドアサシンが、狙ったスポットを...King Pigeon - Higher (Official Video)
ヒゲの兄ちゃんたちによる、風通しの良いシンセポップ。気絶するぐらいいなたい。King Pigeonは、おそらくドイツの四人組。FacebookやYouTubeを見ると2015年ぐらいから活動しているっぽいのだが、詳細がわからなすぎて不安にな...ツイン・ピークス The Return
- 作品
- アート
- 映画
ツイン・ピークス
遂に旅が終わった…。2017年に再開した『ツイン・ピークス』の旅は、18話の長きに渡り、絶えず驚きをもたらしてくれた。「果たして、ツイン・ピークスに語るべき謎は残っていたのか」などと蒸し返す必要もない、あれもこれも観たい知りたいが、結局『ロ...Kyiv Frescoes - Media City Film FestivalMedia City Film Festival
「Media City Film Festival 2022」の配信プログラムで、セルゲイ・パラジャーノフの『キエフのフラスコ画』を観た。今、このタイミングで。軍靴を脱いだ軍人たちの洗い流した床。死と結婚と出産のイメージ。時の流転と伝統。無...DUNE/デューン 砂の惑星
- 作品
- 映画
DUNE/デューン 砂の惑星
映画館の大スクリーンの前に陣取り、ほぼ視界の全面をIMAXのスクリーンが占領している状況で、砂嵐、大雨、これほどまでに視界は遮られるのか。それでいて、本当に視界に入れなければいけないものは、あまりに小さく、儚い。これを「圧倒的な体験」と言い...Four Roads
- 作品
- 映画
Four Roads
パッと見、とてもメカス。ただ、直接人と会えないコロナ蔓延下、16mmのカメラとズームレンズを使って、遠距離で撮影をした映画であるという「パンデミック映画」としての側面もある。デジタルズームだとこうは綺麗に撮れていないという意味で、ある種のデ...NOVEL 11, BOOK 18
「この世で最も素晴らしい幸福とは短い幸福である」。主人公ビョーン・ハンセンの「客観」はそう宣言して、その「短い幸福」の行き先を見届けることになる。ノルウェーの作家ソールスターによって書かれた11番目の小説、18番目の書籍。研究施設みたいに無...Eltávozott Nap
- 作品
- 映画
Eltávozott Nap
カティ・コヴァーチ演じる孤児院で育った24歳の美しい主人公が、死んだと思っていた母親からの手紙をきっかけに自分の家族を探す旅に出る。探し当てた母親には新しい家族がおり、姪と偽りつつ彼らと僅かな時を過ごす。田舎で育ったクリスティン・スチュワー...モグライダー『吉川晃司に飯食わせよ』
M-1直後、2022年2月8日のタイミングでこのレベルの漫才が出来ているということ、覚えておく。モグライダー、今年は去年以上の年になると良いっすよね!Lonely Pirate Committee - He Was in the Father [Official Music Video]
シンプルなメロディの背景で演奏が奇妙に変化する、クリーブランドの二人組Lonely Pirate Committeeの新曲。グリーンバックで”撮影した”音楽のよう。クリスピーなリズムから陽気に幕開け、気がついたら迷い込んでいたビットノイズの...MONOS 猿と呼ばれし者たち
- 作品
- 映画
MONOS 猿と呼ばれし者たち
人里離れた高地、幽玄な景色をバックに、激しい訓練で消耗する少年兵たち。言語や風景から南米を思わせるものの、場所も目的もはっきりしない戦争の中で、人質の管理を任されることになった彼らは、極度の緊張を強いられている。アブストラクトなミカ・レヴィ...The Backrooms (Found Footage)
『The Backrooms』というクリーピーパスタ(ネット上の都市伝説)をそもそも知らなかったんですけど、気付いたらこの無機質な黄色い部屋の続く迷宮の中。4-chan発祥の妄想ホラー譚を、Kane Parsonsという16歳のクリエイター...“Healthy Men” is an Unsung Classic of Dreamy Post-Punk
カリフォルニア在住のSam WoodsonとRogers DeCoudによって結成されたデュオNo Pawsが、2012年に発表したアルバム『Healthy Man』の特集記事。ポータブルキーボードとドラムというミニマムな編成の二人が、バン...アンドロメダ病原体
マイケル・クライトンによる1969年のSF小説。スピルバーグ版『ジュラシック・パーク』のやり方に不満を持っている人間としては、原作『ジュラシック・パーク』の「科学ミステリー」とも言える独特の仕掛けが大いに堪能できる本作にはよだれダラダラ。ダ...くっすん大黒
2021年の末から急に町田康にハマって、更に言うと2021年の頭ぐらいに初めてしっかりINU『メシ喰うな』を聴いたので、俺にとっては2021年は町田康の年だった。立て続けに4冊ぐらい読んだところで、我が人生において「町田康を読み尽くしてしま...SPIRIT OF THE BEEHIVE - I SUCK THE DEVIL'S COCK
見事に変調したギター音で一気に心を持っていかれたSprit of the Beehive(ミツバチのささやき!)の「I SUCK THE DEVIL'S COCK」。誰も望んでいないのに、中途で完璧なアブストラクション、続いて脱力しきったフ...Brutal Alter Minimal, by Mario Marzidovšek
Mario Marzidovšekのテープ作品をコンパイル。モノホンのインダストリアルアーティスト(工場で働いてたという意味で)にして、Suicideを煮詰めたら思いがけず糖分が染み出してしまったような電子音楽。この映像とか、半端に尖ってノ...ダムネーション 天罰
- 作品
- 映画
ダムネーション 天罰
永遠に石炭を運び続ける滑車は重々しいドローンを鳴らし、街は朽ちる。気がつくとカメラは窓ガラスを隔てた室内にあって、不快な低音も遠ざかっていくが、その距離、隔てた空間の確かな存在は消えることがない。プラトンの言うように、音楽は街に忍び込み、精...フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
あまり熱心とは言えないファンにしては割と意気込んで、その証拠に公開初日、いち早く鑑賞にこぎつけたウェス・アンダーソン監督最新作。一本の映画としての脈絡や体裁を棄ててものしたのは、軽やかで自由だが、しかしはっきりとウェス・アンダーソンしか撮り...銀兵衛『おっぱいファイアウォール』
- 組織・グループ
- お笑い
銀兵衛
M-1の三回戦観てて一番「明瞭」に響いたのが銀兵衛(「こいつの異様が教室に充満しきる前に」)で、あまりに凄すぎたので既に終わっていた単独『おっぱいファイアウォール』の配信を買った。以前は「ガクヅケの後輩」としてしか認識してなかったし、ネタも...マリグナント 狂暴な悪夢
- 作品
- 映画
マリグナント 狂暴な悪夢
肉塊だったんだよな、俺達。巻き戻しボタンを押したかのような雑さで、ケレン味たっぷりに無理矢理物語をたたみにかかる頃には、俺たちもうすっかり呆けていて喝采をあげる。肉塊だもの、俺たち。指の先まで神経が張り巡らされ、複雑な脳髄を持ちながら、やっ...スウィート・シング
音楽を塗り替える視覚体験って、ある。何度も聴いたはずのKaren Dalton「Something On Your Mind」。ドブ川に浮かんだジェムのように震える喉の掠れに、ビリーたちの数日が重なる。網膜を焼くスーパー16mmの粒子に刻み...Lenz
アレクサンダー・ロックウェルの新作『Sweet Thing』が公開されるという報せを受けて、俺は歓喜した。なぜなら、彼のデビュー作『Lenz』を観て、エラく感銘を受けていたから。18世紀のドイツを舞台にした、詩人ジェイコブ・レンズの狂気に至...PITY ある不幸な男
事故で昏睡状態になってしまった妻を前に、毎日泣くことしか出来ない主人公は、周囲の哀れみを浴びた「不幸な男」として過ごす一方で、この「悲しみ」が自分の本当の感情なのだろうかという疑いを持つ。肉体に感情が伴わないのである。白髪は増えないし、食欲...007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
- 作品
- 映画
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
「ボンド映画に何を求めていたのか」を、いつも忘れてしまう傾向にある。今回はっきりしたので書いておきたい。それは「格式」である。トム・フォードのスーツに身を包み、アストンマーティンに乗り込むと、007のテーマが鳴り響く。そのカタルシスに身を委...ドライブ・マイ・カー
- 作品
- 映画
ドライブ・マイ・カー
朝焼けを背景に、全裸の女性が断片的な物語を訥々と語る『千夜一夜物語』のようなシーンで映画は幕を開ける。村上春樹による同名短編を原作とした、『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』の濱口竜介監督作品。原作を収めた短編集『女のいない男たち』に収録さ...Clairo - Sling
「Pretty Girl」の頃から、「これは確かに死ぬほどキュートだが、文字通り受け取るわけにはいけないぞ」という磁石の狂った野生の勘のようなものが邪魔をして、あんまり乗れなかったClairo。だけど、「磁石が狂った」っていうのは自己卑下が...シャン・チー/テン・リングスの伝説
例えこれ以上なく感動的だったとしても、実は後で振り返ってみたらとんでもなく小さな物語で興ざめした…みたいなことが、「親子の物語」に関しては往々にしてある。小さな物語≒パーソナルな物語としてしか描けない世界というものは存在するので、それは必ず...ブリーディング・エッジ
内容については、俺達の導き手こと佐藤良明さんが詳細に書いてくださっているのでそれを読んでくれ。つうか、原書で読んでいる人は、この丁寧な訳注なしにどうやって読むんだろう…と思ってしまうほどの衒学的な情報量。NYの街並みや暮らしが細かく描かれて...女性上位時代
サントラのジャケの方が馴染み深い初期パゾリーニを支えたフラヴィオ・モゲリーニによる美術や、ガイア・ロマニーニの見事な衣装、そして巨匠アルマンド・トロヴァヨーリによる洒落た音楽。チームの素晴らしい仕事はあれど、意味不明にふらつくカメラ(笑った...ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結
かつてクリストファー・ノーランが大傑作『ダークナイト』で掲げた漆黒のバトンは、ザック・スナイダーに渡されてなお、黒々と忌まわしく輝く。そんな漆黒のイメージがつきまとう「DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)」にに「色彩」を持ち込もうと...ロバート・エガースの新作に、アニャ・テイラー=ジョイが出るのうれ...
ロバート・エガースの新作に、アニャ・テイラー=ジョイが出るのうれしいけど、『ノスフェラトゥ』のリメイクっつうのも熱くねえっすか!?https://www.dazeddigital.com/film-tv/article...キング・オブ・コントの会
キング・オブ・コントを旗印に、ダウンタウン松本人志を筆頭にした堂々たるメンツが一同に介し、新作コントを披露する3時間の特番。失政続きのKOCが果たしたほぼ唯一の意義だったのではないか、と思ってしまうほど、充実した時間だった。願わくば、このメ...R.E.M.の40周年を記念したコンピレーション。オフィシャルリ...
R.E.M.の40周年を記念したコンピレーション。オフィシャルリリースじゃないけど、本人たち公認みたいですね。自分がカバーするならこの曲、っていうか、俺のフェイヴァリット「Welcome to the Occupation」も入ってるので、...Pasolini
様々な見解のあるパゾリーニの死について、ここまで直球に解釈して、あまつさえ映画化しようとするのは凄いなと思った。監督がアベル・フェラーラだったのでさもありなんだし、俺の苦手で乗り切れないフェラーラだった。パゾリーニの詩作と、映画化の構想があ...『AUN』ようやく観た。場を盛り上げる責務を負った人たち(オード...
『AUN』ようやく観た。場を盛り上げる責務を負った人たち(オードリー)が審査しているのは効果的ではないと思ったのと、それであれば賑やかしのタレントではなくてもうちょい審査員寄りの人を入れた方が良いと思った。手探り感は半端なかったけど、出来合...Olivier Assayas『Noise』、映画それ自体はイマ...
Olivier Assayas『Noise』、映画それ自体はイマイチだったんだけど、Metricのパフォーマンスが圧倒的に素晴らしかった。初めて聴いたと思ってたんだけど、『スコット・ピルグリム』でブリー・ラーソンが所属していたClash a...『ホワット・イフ…?』遂に今日から!見るからにトリッキーなことに...
『ホワット・イフ…?』遂に今日から!見るからにトリッキーなことになりそうなので、実はすごく楽しみ。アニメの大仰なノリに着いていけることを願う。ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン
一日目。じゃがいもを火にかけると、来客あり。その男性を家に迎え入れた主人公(デルフィーヌ・セイリグ)は、そのまま奥の部屋へ。カメラは固定されたまま一転、日が暮れている。男性は女性に紙幣を渡し、「また来週来るよ」と告げる。居間にある大きな壺に...ウィッシュ・ドラゴン
主人公ディンとリナは貧民街に暮らしながら、龍の凧を飛ばしたりしていた幼少頃に「ずっと親友」であることを誓った幼馴染。両方とも学校生活からはみ出ているが故に分かち難い存在となった。しかし、立身出世を志したリナの父が、川向うの山の手への移住を決...SNS 少女たちの10日間
(c) Caught in the Netオーディションで集められた3名の女優が12歳の少女を偽り、SNSにプロフィールを投稿したら何が起こるかを描いたドキュメンタリー。50代の男が、12歳の女の子に「散歩したり、ココアとか飲ませたりしてあ...プロミシング・ヤング・ウーマン
ささやかな世直しを終えた主人公キャシーが、ホットドッグを頬張りながら夜が明けたばかりの空の下を往く。Charli XCXが歌う「I was busy thinking about boys」。歌詞の意味が反転していく中、賑々しくGIF焼けし...マンディンゴ
ハンサムな白人青年のハモンドは、奴隷農場「ファルコンハースト農園」の若旦那。足を引きずる不具の身であるコンプレックスを抱える彼は、白人社会の慣習と己の良心の間で引き裂かれそうになっている。その葛藤に、甘い結末など用意されてはいない。登場する...Tyler, The Creator - CORSO
今年、これ以上にクールなPV出るかね…。心配。タイラーの新作、この曲を筆頭に、しっかりとアップデートされたサンプルミュージックで高ぶるものがある。デビューの頃から一貫して、自分の容姿いじりの人というイメージでそれはそれで最高だったけど、この...ワイルド・アット・ハート
映画としては良い…というか結構好きだが、「果たしてパルム・ドールを獲るほどのものなんだろうか?」。ポン・ジュノ『パラサイト』を観た後みたいに、今回も首を捻った。デヴィッド・リンチ監督による、長編第5作目。『俺たちに明日はない』や『ナチュラル...Jerichow
アフガニスタンでの戦線から「不名誉な除隊」で帰国したトマスは、雇い主のアリとその妻の三人で、海岸でピクニックをしている。退屈そうな様子を隠さない妻のローラと対象的に、泥酔して踊るご機嫌なアリ。「俺はギリシャ風のダンスを踊っているんだ。お前た...