好きにならずにいられない

デブのおっさんが主人公の映画に、ここまで心震わされるとは…。

「デブの独身男が恋をした」というシノプシスから「恋愛が成就/成就しない」という悲喜劇を描いたものを誰もが想像すると思うが、事態はもっと複雑で悲しかった。主人公フーシは、デブでオタクかもしれないが、ここまでイイ奴なかなか想像できないってレベルの逸材。どうしようもなく無愛想かもしれないけど、話せばわかるやつ。一度心を許せば、とことん尽くしてくれる仏みたいなやつ。

…に対して、こんな可哀想なことするなよな。「何部屋予約した?」とかさ。心優しいやつが本当に理不尽な目に遭い続ける。それが、どこにぶつけていいやらわからない、複雑な感情をスクリーンは映し続ける。

中でも、女性と共に過ごす車中で、馴染みのDJに音楽をリクエストするシーンが、色んな感情に溢れていて最高。「DJと知り合いという優越感」「普段はヘビメタリクエストしてるという恥ずかしさ」「そんな俺が甘いラブソング(ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」)をリクエストするという恥ずかしさ」「うっとり」「この人、本当にヘビーリスナーという頼もしさ」「本当に女性と聴いてるんだという実感」などなど。

恋愛映画に「マジでその手、アリ…?」って思わされるような、腰砕けになる展開…。そんな悲しい状況でも、フーシは自らを変え、新しい一歩を踏み出していく。恋愛映画を迂回した先にある、ささやかな成長物語だった。

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