雑誌「南海 第6号」と映画「キムズビデオ」に今頃出会う

小田原に日帰り旅行をした際、本屋「南十字」にて購入した「南海」の第6号。たまたま面白そうだからと手に取ったこの本が思いもよらぬ充実した内容でしたのでご紹介。
MOVIE MAGAZINEと称した南海は、ブックデザイナーを本業とする桜井雄一郎という方が「VHSメディア」に対する偏愛を中心に制作する素晴らしく超ニッチな映画雑誌。そしてこの6号の特集が映画「キムズビデオ」についてである。
キムズビデオは、1987年〜2008年までNYのイースト・ビレッジにて営業してたレンタルビデオショップで、5万5千本という世界屈指の本数を揃えており、惜しまれつつ閉店した後のVHSコレクションの行方を追うドキュメンタリー映画だ。
まずそういった伝説的なレンタルショップが存在していたことを知らなかったし、南海で紹介される内容からみても、普段お目にかかれないようなレアなビデオや海賊版まで、映画マニアを唸らせる品揃えだったようで、マニアとまではいかないもののB級映画には愛着のある自身としても、このエピソードだけでワクワクする。(最古の記憶は『溶解人間』(he Incredible Melting Man)をどこかで借りて見た記憶。多分VHSだった気がする。どこで借りたんだっけな?)
日本ではかつて渋谷や三軒茶屋の TSUTAYA、下北沢のDORAMAなどがそういったレア品、珍品を一定数揃えており映画ファンをある程度満足させるような役割を果たしていたように思うが、キムズビデオは雰囲気的にはCDレンタルでいうところの神保町の「ジャニス」に近いかもしれない。めちゃくちゃレアなCDをレンタルできて、水道橋で働いていた頃に一時期毎週CDを借りてはリッピングしていた、あの場所とあの営みが割とキムズビデオを取り巻く環境に近い気もする。
そもそもVHSというメディアの存在意義について考え出すと、この投稿では到底足りない深い考察が必要になるのでいつか別場で考えたいが、なんといってもこの2025年に上映された「キムズビデオ」という映画自体を全く知らなかったことをとても後悔している。まずはこの映画を見ることから始めなければならない。
どうやら2026年現在は配信もDVD化もされていなようで、調べたところ、上映中に映画館にて450本限定でVHSで「キムズビデオ」本編が販売されたそうな!先ほどメルカリで確認したところ数本出品が確認された。

映画「キムズビデオ」を見るために、再び私はVHSのビデオデッキを購入し、レア価格となっているこの映画のVHSを購入しないと未来永劫みれないかもしれない。VHSでしか見られない作品という亡霊を、この映画自体が同じ歩みを辿っているのは何とも皮肉なことではないか!
映画「キムズビデオ」と、それを特集する雑誌「南海」、その雑誌を並べてくれた小田原の本屋「南十字」。この一連の出会いが全くインターネットを介さずにアナログなツールで巡り会えたことも、何かメディアの価値を自分自身にも問い直す一連の体験だったと思いここに記しておく。
映画「キムズビデオ」https://kims-video.com/
雑誌「南海」第6号 https://note.com/lowbudget/n/n3c43ce37e2d0
※この方の著作『ワイルドシングス VHSジャケット野性の美』も、B級映画ファンにはたまらない逸品。
https://seikosha.stores.jp/items/66d975595b90ec03554defe0
本屋 南十字 https://minamijujibooks.com/
(※本屋「南十字」はリニューアルのために2026年12月に一旦閉店すること。残念だがまた復活後に訪れたい)
myanger081owllights/オウルライツの創始者。活動休止中だが一度…
桜井雄一郎
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