藤田建次 / この惑星の郊外で

「美しいメロディを書くのは実に簡単な事である、朝飯前だ」とある賢人は宣うのだが、果たしてその通りだと運悪く首肯する僕が、しかし心をガツンと揺り動かされる「美しいメロディ」を宿した音盤に改めて出会う時、そこに奇跡を見てしまうのは何故だろうか。所謂ミューズの否定として、僕が「こちら側」からその権威に唾棄するその刹那、その「向こう側」に微笑する天賦の才を見て絶望するのだ。そのサーガに出くわす様はまるで交通事故であり、しかし決まって音律の前に目覚めるとき、慄然と肌粟立つのを覚え、何度も何度も繰り返し聴取する猿のごとき僕だ。

音塊の磁気砂を手ごねしてこさえた肉団子を頬張る1stの奇天烈さ、そしてメランコリーを混ぜ込んだスープに浮かぶ細波のように凛とした名盤2ndから、しっかりと軸を持った「音楽」が自律して立ち上がった、惑星のような3rdアルバム。この軌跡を、おそらく無意識のうちに辿った藤田建次の仕事は、様々な角度から照射することで異なるきらめきを反射させる美意識のプリズムのような音楽実験である。それは耳障りの豊富なヴァリエーションの中に保証された、愉悦に満ちた行為なのだ。

次号「TRASH-UP!」連載企画「Words and Tapes」では、3rdアルバムが絶賛発売中の藤田建次のインタビューを掲載します!お楽しみに!

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