aiwabeatz is TYMESLYCEによるブレンド集「LOW END THEORY」がすごくすごい

aiwabeatz is TYMESLYCE(通称aiwaくん)のブレンド集、その名も「LOW END THEORY」が届いたのでレビューを書こうと思います。

が、作品について語る前にまず彼について語りたい。aiwaくんの印象を一言でいえば彼は「持ってる」人なのです。

なにが言いたいか。

aiwaくんは俺にとって数少ないヒップホップ純度の高い知り合いで、MCATM経由で(確かツイッターで?)やりとりするようになった記憶があります。
その後、MCATMも交えて深谷映画祭「サイタマノラッパー1,2連続上映会」を観に行こうよって流れになって、一度だけ会ったことがあるんですよ。途中ATMが来れないって言うんでどうしようかなとも思ったんですが
それまでに何度も熱いヒップホップ談義を交わしていたし全然大丈夫だろうと熊谷駅で待ち合わせて、俺の中古の赤マーチに乗ってもらったわけです。
ネット上で観る限りaiwaくんって、ラボ周辺の人たちみたいに手探りで自分なりのラップやってる、、、感じじゃなくて、かなりストレート?ハード?直球?なBBOYスタンスな音楽人に囲まれてるイメージ。自身もelectribe Sという意外すぎる安価サンプラーで超ストイックなトラックをメイクするヤングプロデューサーって映ってたから「ラップ映画とはいえサイタマノラッパーとか大丈夫なのだろうか。。。」と若干ビビッてたわけです。正直。

ビビりつつも初対面の人には必ず地元銘菓「五家宝(筒状のおこしにキナコをまぶしたイナタイ和菓子)」を渡す癖があるので、今回もコンビニ袋に入った五家宝を差しあげたら「あざす!」って感じで手にしたまま、その後5時間ぐらいずっとそのコンビニ袋を持っててくれたんですよね。北関東のリアルヒップホップシーンについて語りつつ。映画を観てる間、休憩で外に出てドリンクを飲む間、会場でふるまわれる焼き肉の列に並ぶ間、ずっと。
今考えると、あれマーチに置いておけば良かったんだなーって思うんですけど、とにかくこうしたイベント局面では非常にノイジーな存在の五家宝コンビニ袋を彼はずっと「持っていた」のです。
右手に純度の高いヒップホップ哲学を持ち、左手には五家宝のコンビニ袋を「持ってる」。その両手の使い方こそaiwaくんを説明するのに欠かせない要素だと俺は思っているのです。伝わるかなー。

前置きが長くなっちゃったけど、そんな彼がドロップしたブレンド集(オリジナルインストトラックに有名ラッパーのアカペラをMIXした作品のこと)はTYMESLYCEの通り名に恥じない徹底的にサンプルを切り刻んだ作風が特徴です。
元ネタがどう、というタイプではなく、サンプリングのフリップでグルーブを点描する人なんだと思う。いわばelectribeの印象派で、まさにぶつ切りみじん切り。太く細かい。元々の音楽から解離してしまったそれら素材をストイックな右手で並び替えてる。出来上がったらコンビニ袋を引っかけた左手で仲間を呼んだり届けたり。両手を使って作品に力をこめてる。
なんて想像をしてしまうCDこれは。

自分も最初MS-1というサンプラー界のゾウリムシ機材で音楽を作っていたのでよく分かるんだけど、この2012年にelectribe S一本でトラックを作り続ける苦労と見切りには相当なものがある。
90年代好きとしては、ぶっとい鎌で根こそぎ刈り取るような力強いサンプリングトラック「NEWDAY」、たぶんみんな大好きな冷たくて温かいループの(聴くところによるとラッパー人気随一とか)「CLUB BANGAR」、非常階段の暗がり・ヘリの爆音・交差するサーチライトを目の当たりにするかのようにスリリングな「(19曲目の方の)SNOW」が聴きどころだろう。個人的に「情景浮かぶモノ(勝手に)」では鈍い色のブリキの兵隊が行進しつづける灰色の光景みたいなディストピア曇天トラック「POISON」もいい。かと思えばミドルスクール感あふれる荒れた音色のドラムトラック「TOUNGUE OF LABYRINTH」もある。さて、みなさんはどのスライスがお好きでしょうか。

ジャケと盤面プリントも作品の説得力を非常にかわゆく増していて、要するにこれはかわゆいCDなので、非常にオススメです!

■aiwabeatz is TYMESLYCEのsoundcloud(収録曲もアップされてるよ!)

http://soundcloud.com/tymeslyce

■aiwaくんのツイッター(ここに彼の全部がある。音楽、相撲、かわいこちゃん。その他諸々冴えわたってます)
https://twitter.com/aiwasoundsystem

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