ミランダ・ジュライ『ザ・フューチャー』

予告編から受ける自己啓発映画の匂いを逆手に、自分探しムービーから無様に脱線していくのが、彼女の作風なのかも、と思ったミランダ・ジュライの新作『THE FUTURE』。前作『僕とキミの虹色の世界』でも味わった、サバービアンな風景の中に溶け込んだ、人間同士の不器用な心の交流がもたらすちょっとビターな物語。本作では、その心象風景がよりシュールレアルな表現を持って現実を浸食していく。

予告編にも描かれる「猫が退院するまでの30日をどのように自由に過ごすか試行錯誤するカップルの話」はいつも簡単に飛び越えて(もしくは踏み違えて?)いくのでご安心を。アメリカのある種のジェネレーションを象徴しているようでいて、北欧映画のようなどこか突き放したような引きの美学も感じる(ソフィア・コッポラ『SOMEWHERE』とか、ハーモニー・コリン『ガンモ』をついつい引き合いに出してしまうが、より複雑な状況を描いているよう思う)。

自分と伴侶の間に流れる「人生」という途方も無く長く感じる時間。その「始まりの終わり」は、ガレージセールのジジイがそのとめどない無駄話の中で、そして前脚を怪我した猫のパウパウの独白の中で、語りとオーバーラップしてヒリヒリする程の痛々しさで描かれる。ささやかな暮らしに訪れた「とんでもない事」とその終焉の語り口にハッとした。オススメ。

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