『告白』

賞味期限切れになるのを待っていたかのようなタイミングでアップ。単に忘れていただけでした。

前評判の高さに恐れおののいていましたが、自らを奮い立たせて劇場へ。そもそもPV調のエフェクト過多な映像表現を映画で見せられるのが苦手な人間なので、果たして正当に評価出来るのか「時代に付いていけない爺」という謂われなき誹りを受けねばならぬのか、恐々として観ましたが、何これ、普通に良作じゃん。

というのが感想。ハードルが上がりすぎていた分、些か冷静に受け止めすぎたきらいもありましたが、非常に面白い映画でした。

欠点から挙げると、まず(大方の評価とか真逆なのですが)音楽の使い方が好きじゃない。「愛のむき出し」でも感じましたが、音楽が鳴りすぎていると、長〜いPVを見せられているような気分に…なりませんか?特に今回はレディオヘッドのPV。映画の中の登場人物が何かを主張している時に、歌詞の乗ったメロディを被せるべきではないと個人的には思うのです。

更に、「斬新」と言われた映像表現も、例えば鈴木清順やホドロフスキーのような作家が過去に試みた表現の再生、あるいはエヴァンゲリオン以降のアニメに影響を受けたアヴァンギャルドなコーティングを為された「90年代的」ポップな表現だと思いましたが、括弧付けで書いたようにいささか古くさかったし、僕は然程映像表現そのものには感銘を覚えなかった、というのが正直なところ。映像は非常に美しいと思います。

では、何が良かったのか。僕にとってはこの映画は「脚本と演出の連関」の美しさが印象に残る映画でした。先に挙げた「音楽過多」「斬新な映像表現」は至る所で空回りしていて、不要だなとすらと感じましたが、それ以上に「ここ、この瞬間に、無ければならなかった、決定的な表現」の力強さを感じさせるシーンがとても沢山あった。無駄なダンスを繰り返し、もたつく足下、最中にふと現れる決定的な美、がそこに出現した(それも何回も)事こそが、この映画の素晴らしい点だと思います。

物語上必要であった、そしてミステリーとして重要な小細工となるあるものが、クライマックスで実に感動的な作用をもたらす時、そこに映像の力強さを感じたのです。なので僕は、小説よりもこの映画版を推します。小説にあった実に陳腐なテーマが、松たか子を初めとする役者陣の演技と、大仰だが斬新な映像演出が、エクストリームさでどこか別の次元に行ってしまったような感覚を受けたのは、楽しい経験でした。

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「決定的にこじらせてしまった中二病」を題材にした、過剰なだけで凡庸に見える物語も、その裏側に透ける複雑なコミュニケーションの機微と感情の爆発を、(逆説的に聞こえるかもしれませんが)「映像」と「音楽」の力で表現した力作だと思います。

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