皆殺しの天使
ルイス・ブニュエルのメキシコ時代の代表作を、渋谷イメージフォーラムで。
http://www.ivc-tokyo.co.jp/bunuelangel/
パーティーに招かれた20人ぐらいの客が部屋から出られなくなる、というそれだけの話。何らかの物理的な障害があるわけでもなんでもなく、「なんかわからないけど」とにかく何日も部屋から出られない。食料もなく、水も飲めないまま、極限状態に陥っていく…。
世にも不条理な作品。不条理が過ぎて、「一体何のために撮ったのかわからない」作品になっているけど、これって結構凄いことなんじゃないだろうか…。この文法は、どこにも引き継がれていない気がして、観ながら不安になってくるぐらいの奇妙さ。特に、同じ場面を意味もなく反復する件があって、その得体のしれ無さに震えた(アフタートークでKERAさん曰く、ブニュエル自身がインタビューで「尺を埋めるため」という身も蓋もない言い方をしていたとのこと)。
一つ一つの描写は随分と微に入り細に入り思わせぶりな演出をしてるんだが、そのどれも投げっぱなしで、最終的に何も説明しない。伏線貼りまくって片っ端から回収しないシステムって、客側からするとストレスに感じるんじゃないかと思うんだけど、伏線の量があまりに大量なので貼ってる行為自体が面白くなる。
特に印象的だったのは、スプーンを取りに行くよう命令された執事が、部屋の外に出る直前でどーーーーーしても他のことが気になってしまい、「なんかわからないけど」外に出れないという描写(このシーンがなかったら映画として成立しなかったかもしれないから、意に反して「必要なシーン」だったのかもしれないが)。こんなのが延々続き、当人たちは相当シリアスなのに、観てるこちらからすると相当マヌケな状態になっているという、最終的には立派なコメディと化していました。今までの時間を無にする、突き放すようなラストも最高すぎた。

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