女子高生チアダンス部の青春群像を描いた映画。単なるダンス映画ではなく、成長と挑戦のドラマとして高い評価を得ている。広瀬すずや天海祐希らの熱演が光り、行動の大切さや夢への情熱を描き出す。前半の軽いタッチから後半の深いテーマ展開まで、観客の心を掴む秀作として注目を集めた。
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『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』を全力でオススメしちゃったホントの話
色恋動機で入部してチャラけてたひかり(広瀬すず)が、戦力外として一人外された舞台。円陣でいつも通りメンバーを勇気づけてから大舞台に送り出すと、その背中を眺めながら涙がこぼれないように天を仰ぐ。無難な監督ならもう5秒早く切るし、無難な役者ならこの5秒は持たなかった。終始、この手の信頼感をバトンのようにして繋いでいった結果、序盤の浮ついた演出も、いつの間にかシリアスの影をまとい、俺はもう正座で号泣でした。つか、前半と後半で、監督変わってない??
いやいやしかし、浮ついているように見える前半から既に、種はしっかりと蒔かれているし、一見説明台詞過多に見えるが、大事なところは視神経を通して心に伝わるように出来ているのが凄い。そもそも、真剣佑を国立で応援するという不純な名目で入部するチア部であるが、そのひかりの亡くなった母親(鈴木杏)が実は元チア部であることも実家の写真で提示される。その家に「太りやすい体質」のひかりと共に残されたのは、唐揚げを得意料理とする太った父親(TKO木下)。ひかりのバックボーンを説明台詞なしでしっかりと観客に印象付けている。
更に、この物語全体を通して「人間は行動を以て成長していく」という原則が忘れ去られることは決してない。山崎紘菜はストリートでのダンスを 通して笑顔の理由を見出すし、荒れた家庭環境の犠牲となっている富田望生は遂に母親に言い返す(この「遂に」と当然のように信じ込ませるのも高等テク)。全治2ヶ月の怪我を負ったひかりも、遅れを取り戻すべく必死に稽古しなければ絶対にチームに戻ることは叶わない。そして、絶対的チームリーダー足るあやの(中条あやみ)は言わずもがな。ビリビリに破けて、テープで補強してある「夢ノート」に、その徴がある。
そして、その裏返しになるが「行動なくして栄光なし」という現実も同時に突きつける。ダルいから一歩を踏み出さなかったひかりの友人二人は、チア部を応援することしか出来なかったし、当然、柳ゆり菜がそのバレエのスキルを全世界に披露する機会も与えられなかった。なんとなくの平等に帰着するのではなく、行動と結果をセットにして提示するやり口、賛否両論あるのだろうが俺は好きだ。
若い役者陣の熱演(マジで熱演)に、受けの演技を崩さなかった天海祐希の演技と、そのバックグラウンドが徐々に明るみになってくる終盤の展開は、誤解を恐れず言うなら「圧巻」。ベタベタな「種明かし」に見えるかもしれないが、そのベタさを真正面から受け止めつつ、円陣の際の微妙な距離、手の位置、背後に配置した人物の表情、などで裏側でも巧みにオーケストレーションしてみせる。
どうか、前半の印象(世界一ダサいタイトルフォントとか、どんくさい効果音とか、怪しい福井弁とか、不満を記号化したような「リンダリンダ」とか)で諦めずに、最後まで観て欲しい。数年ぶりに観てハラハラしていた俺も、やはり後半はその見事さに(泣きながら)感心していた。