映画監督として独自の視点と繊細な演出で注目される存在。『夜明けのすべて』では松村北斗と上白石萌音の演技を引き出し、日常の中の抒情性を丁寧に描き出している。特にプラネタリウムのシーンでは、物語全体を貫く感情と行動の連関を示唆する端正な作りが光る。派手な展開はなくとも深い感動を呼び起こす作風で、人間関係の機微を捉える力量が際立っている。
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三宅唱『夜明けのすべて』
この映画については、三宅監督本人と濱口竜介監督、三浦哲哉さんによるこの記事がすべてだと思うので、これ以上言うことがない。レビューや感想、批評については、人の数だけ種類があって良いと思うのだが、自分が言いたかったことはこの鼎談にあることがほとんどすべてであった。松村北斗さん(SixTones)というすごい役者がいることを知って本当に良かった。この鼎談にある通り、上白石萌音の転勤を知らされる場面での演技には目を見張るものがある。実際、スクリーンの前で、目を、見張っていたと思う。ポテチをザーッと口に流し込んでも、お互い特に気兼ねしないような関係から恋愛は生まれないだろうし、生まれない方が幸せな関係もある。あの事務所の構造が実に映画的である点とか、エンドロールのボールの行方についても言及してあって、当事者がここまで語ってくれるのであればこんなにありがたいことはないと思った。
ドラマ的に派手なことは何も起こらない本作の中で、圧倒的に抒情的な感動が呼び起こされるプラネタリウムのシーン。ここの語りで、この物語で行われたあらゆる種類の行動と、それによって引き起こされた様々な感情が、循環してまた異なる何かの感情や行動に結びついていくという連関を図らずも示唆してしまうという端正な作りに魅了されてしまったのでした。