李龍徳の小説は、現代日本の排外主義や在日韓国人の人権問題を鋭く描いた作品。2020年の作品でありながら、あまりにも現実を先取りしたような迫力で、社会の分断と排除のメカニズムを批判的に描写している。政治と創作の境界を曖昧にし、作品を通じて社会に介入する可能性を追求している。
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李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』

「排外主義者たちの夢は叶った」という書き出しがあまりに鮮烈なのだが、その切れ味が以降のページでも一向に収まらない。この「憤り」の物語は、複雑な双方向の刃で周囲に切り掛かり、その様が如何にもSNS以降の 「現代」という空気を感じさせる。
「極右の女性政治家」が総理大臣となり、排外主義が幅を効かせた結果、在日韓国人の人権が脅かされていく。2020年の作品とは思えないほど、現代日本を言い当ててしまっていることに怖気を感じるが、現実同様、外も内もザリザリにささくれ立っていく中、韓国への集団帰国を企てる「青年団」の元リーダー朴梨花の言葉がよかった。彼女は、政治活動を創作活動の一つの発露として捉えている。
でも私は気づいたの。直接の読者を持たないような、私のなかだけで閉じているように思われる自称『創作活動』がそれでも、この世界の扉をノックしてた、この世界にじかに触れてた、世界に参加してた、って。そうじゃなかったらどうして、(中略)後世に作品を残せなかった名もなき作り手たちの声が、私たちの礎となったと言えるか。この世界を動かす。私たちの住むこの大きな球体をなんとか動かす。その指の引っかかりとなる。