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mmm+古川悠木@Rhythm and Betterpress

森下駅は最寄りの駅から一本で、少し時間かければ文庫本読みふけっているうちに着くような場所だということに気づく。「Rhythm and Betterpress」という活版印刷の工房兼立ち飲み屋という魅力的な場所で、旧知の鈴木くんがDJを務め、mmmさんがライブをやるイベントが開催されると聞いて赴けば、知り合いも沢山いたし、知り合いが沢山できた。音楽イベントって、こういう、楽しい場所だったな、と思いだして嬉しい気持ちになった。

mmm+古川悠木『気配/予報』は、当然聴き込んで臨む。自身で歌うとか細くも凛として芯のある声が魅力的な古川悠木は、心待ちにしているあの駅まで指折り数える描写にグッと来てしまった「ハイキングコース」が、バンド編成のアルバム『金貨』の一曲目に収録されている。当然聞いていったはずなのに、何にも覚えておらず、普通に感動しているのだから自分に呆れてしまった。7thのコードを運指するたびにゆっくりと減速するライブは、あまりに不器用に丁寧で、安心してしまう。酒が進む。

終演後に鈴木くんにも伝えたが、DJが機能している空間で、しっとりとした二組の音楽に寄り添いながらも、身体の動く選曲にアルコール。本当に久しぶり、ライブを観るのも10年ぶり以上なら、話をするのはもっとぶりなmmmさんのやっぱりブルースとしか思えない歌声。いつのまにか可動域を越えて、どこか明後日の一点を見つめるような眼差しで、ぼんやりとリスニングに徹していると、どこからかコーラスが聞こえてきて、なんとなく先日亡くなった母を思い出して、初めてなんとなく死を飲み込めてしまった。終演後、「お互い、生き延びてよかった」と言っていたmmmさんに、詩的な響きだなと感心してたら、ガチで同級生が亡くなったりするから、真っ直ぐな意見だったらしい。良い一日だった。

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