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母が亡くなった。糖尿病から来る心筋梗塞と脳梗塞のダブルパンチで、生き延びることが奇跡だった7年前。父の介護を受ける母のことを想いながら、僕らはこれから確実に訪れる「死」を7年かけて受け入れていった。ゆっくりと、着実に、影を薄くしていく母。葬儀は身内だけ。和やかに終わった。もともと小さかった母の身体は病気でより小さくなり、骨壷にはゆとりがあった。遺品を整理していく中で、彼女にも語られるべき過去があったことを知った。

母について自己陶酔的に書く適切な時期は、今ではないと感じる。彼女の死はそのきっかけにはならない。僕には今、息子がいて、彼と接していると、両親の僕ら兄弟に対する教育の、彼女らの人生の、答え合わせを見せられているような心持ちになる時がある。母の存在は、息子を通して、現実に射影される。僕は、ここで、変わらず、全力で息子を愛そうと思った。母が成し遂げてくれたものを、伝えようと思うのである。

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