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Pasolini

様々な見解のあるパゾリーニの死について、ここまで直球に解釈して、あまつさえ映画化しようとするのは凄いなと思った。監督がアベル・フェラーラだったのでさもありなんだし、俺の苦手で乗り切れないフェラーラだった。

パゾリーニの詩作と、映画化の構想がある物語が、彼のインタビューや思想と絡み合う形で一日が過ぎてゆく。その理想主義的な存在に対して、現実はあまりに平凡で、悲しい。そら、共産主義者として目をつけられてた、みたいな陰謀論も出るわけだなと思った。

唯一の金星は、パゾリーニ映画のミューズ、ニネット・ダヴォリが、『ジョン・ウィック2』などでおなじみのリッカルド・スカマルチョと競演したところかな。「映画化しようと思っている」と語ったその物語が、まるで生の三部作のように朴訥でエロティックなのが面白い。彼らは、救世主を求めた行脚(つまり、東方の7賢者をなぞっている)の末にたどり着いたローマ、「男性と女性、どちらを愛しますか」と聴かれ、「ここはゲイの街だ」と警察官から端からガツンとかまされるこの自由の街で、ソドミーの現場を目撃した彼らは、地球を見下ろす階段を登り、天国へと歩みを進める。進めども進めども見えぬ天国、結局「天国などないのだ」という結論に至るが、同様に「終わり」もまた存在しないのであった。

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