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虚飾の影に苦虫を噛み潰して/Amalia Ulman『エル・プラネタ』

Amalia Ulman初監督作は、彼女の有名なアート・パフォーマンス「Excellences & Perfections」のエンディングに流れる長い葬送曲のように聞こえた。

トラジコメディの、「トラジ」にも「コメディ」にも振り切らないまま、フラフラとある種の「悲惨さ」を貫いた鑑賞後(またしても豪快な「FIN」)、苦虫を噛み潰したような表情の観客こと俺。冒頭の悲劇的なミーティングシーンから一貫して、「この人(たち)からは、まともに生活を営んでいこうという気概を感じられない」というダルさが画面に貼り付いてしまっている。が故に、謎にきらびやかな服装に身を包んだ生活は、虚飾の影となって、暗くしみったれていて切ない。

アマデウスという謎の中国人青年との出会いとその顛末や、大きな仕事が舞い込んでも貧窮故に請けることが出来ないという不幸せは、影を色濃くしていくのだが、虚飾の突き抜け方があっけらかんとしている。「その時、泣くのを我慢したのよ」という虚勢が、二人の歩みを微睡ませ、あらぬ方向に行く姿を見守るしかないが故に、苦虫が。

一貫して音楽が素晴らしかったのと、モノクロの画面に黄色を中心とした蛍光色を指していくデザインが美しかった。映画として満点とは言えないかもしれないが、好きな人はたまらなく好きなタイプの映画で、俺は好き。『フランシス・ハ』とか好きな人に。

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