緊張感と不安を極限まで高めていく物語ジャンル。登場人物の内面や状況に潜む不穏な空気を、ゆっくりと、しかし確実に読者や視聴者の不安を煽っていく。サスペンスと近い概念だが、より心理的な緊張感を重視し、予測不能な展開や登場人物の内なる葛藤を描くことに特徴がある。
※ AIによる解説文(β)です。当サイトの内容を参照して、独自の解説文を構築していますが、内容に誤りのある場合があります。ご留意ください
フリーダ・マクファデン『ハウスメイド』

「登場人物一覧」に記載されている人数を無視できるミステリー好きはいない(断言)。ここに記載されている中に真犯人は含まれる(含まれていない場合、激しい非難の対象となる)ため、数が多ければ複雑で読み甲斐があり、 少ないと単純で退屈、と予想可能だし、その予想は大抵当たる。だからフリーダ・マクファデン『ハウスメイド』の登場人物一覧に記載された人物が「5人」というのは大変危険な信号。しかし、ここまで少ないのは未だかつて見たことがない。であれば、むしろ挑発的、とも感じられた。
結論、大いに挑発的だった。主人公の家政婦ミリー、勤め先の富豪アンディ夫妻に、娘と庭師。完読すれば、ここに追加できる人物がもう何人かいることに気づく(近隣の住人や、アンディの両親など)が、むしろこの5人であることが重要。ミスリーディングもテーマのブレも避け、不気味な家に住み込みで勤めることになったミリーの不安にフォーカス出来る、ベストな登場人物一覧である。
中身はすごい。近年の端正な構造を持ったミステリーの数々に比べると荒削りではあるが、ショートショートの連続のようなスピードで不穏な小話が挿入されて、すべてをすっ飛ばしてオチを聞かせて欲しい気持ちでたまらなくなる。その衝動が燃料となり、ページを繰る指が止まらない。そんなタイプのスリラー。
映画向きだなー、もっと言うと端から映画化を目論んで執筆されたような作品だなと思っていたら、2025年の12月、既に公開されているとのことで。

ミリー役シドニー・スウィーニーかーーーー。ケイリー・スピーニーで想像していたんで調子狂ったなー、とか思いました。
ホリー・ジャクソン『夜明けまでに誰かが』

あの『自由研究には向かない殺人』のホリー・ジャクソンによる完全新作。夏休みを過ごそうとキャンピングカーを運転する4人の高校生と、そのお目付け役の2人の大学生が、人里離れた荒野で謎の人物から狙撃される。狙撃者は「6人の中で、秘密を持っ ている者が一人いる」と告げ、夜明けまでにその秘密を明かすよう要求する。
ミステリーというよりはサスペンスやスリラーに近く、より淡白で、故に現代的なスティーブン・キングというか。ピップとラヴィを描ききったあの筆力は見事なもので、時を忘れて読みふけってしまった。謎解きの要素は控えめでありながら、様々な角度から驚きの展開がもたらされ、息をつく暇もない。すごく映像向きの作品だと感じたので、どこかでそんな企画が進んでいても驚かない。