南米は、アマゾン密林や高地の地形が特徴的な大陸。植民地支配の歴史や先住民文化、政治的混乱など、複雑な社会背景を持つ。革命や内戦の物語は、しばしば過酷な状況下での人間の生存と変容を描き出す。この地域は、圧倒的な自然と人間の葛藤を象徴する舞台として、文学や映画で繰り返し描かれてきた。
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MONOS 猿と呼ばれし者たち

人里離れた高地、幽玄な景色をバックに、激しい訓練で消耗する少年兵たち。言語や風景から南米を思わせるものの、場所も目的もはっきりしない戦争の中で、人質の管理を任されることになった彼らは、極度の緊張を強いられている。
アブストラクトなミカ・レヴィの音楽が見事に演出する、幼い精神の落ち着かなさ。謎の敵対勢力に囲まれ、ジャングルに孤立する幼い組織は、嘘と裏切り、弱さと虚勢に弄ばれるよう。死と背中合わせになった極度な緊張は、幼い乱痴気で解消されるが、それは次の緊張の種を蒔く。引き返すことの出来ないカルト的な狂騒の中で力関係がコロコロと代わり、それに寄り添うように物語の主人公も変わっていく。
誰が何から逃げているのか。主客が揺らぎ続ける逃避行は、圧倒的な密林の中で繰り広げられる。蚊に悩まされる密林の夜、土砂崩れに押し流される表現は圧巻。『蝿の王』のように、少しずつ崩壊していく少年少女の組織。アレハンドロ・ランデス監督は、『炎628』の地獄変をアップデートしてみせたと思う。
