戦争映画の新しい表現を追求する現代的な作品群の一つ。人間の残虐性や戦争の悲惨さを、従来の英雄主義的な視点ではなく、無垢な存在が暴力の渦中に巻き込まれる様子を通して描く。若者の視点から戦争の非人間性を鋭く抉り、観る者に深い衝撃と内省を迫る作品群の特徴を示している。
※ AIによる解説文(β)です。当サイトの内容を参照して、独自の解説文を構築していますが、内容に誤りのある場合があります。ご留意ください
炎628
ずーーーーーっと「観たい映画リスト」トップに鎮座してた映画をついに観た。ナチス「アインザッツグルッペン」によるソ連における大量虐殺「ハティニ虐殺」を、パルチザンに入隊する少年の視点で語る。遊び場にしている地元の荒野で偶然銃を掘り出してパルチザンに入隊するも、冒頭、飛行機からその姿を捉えられているので、「銃を掘り出した」そのことが原因で故郷の村が襲撃される。
脳天気な「愛国主義者」である主人公たちが、「みんな入ってるから」という理由で入隊するパルチザンの描写も決して美化されない。そこには似つかわしくない(が故に、逆に何らかの被虐的な役割を想像させられるような)着飾った姿で登場する少女=ローズは、森の中で気が狂ったような仕草を見せる。ザバザバと降り注ぐ雨の中でダンスするローズが、童貞少年の見た夢なのか現実なのか、ほとんど判別つかない(このシーンだけで4時間ぐらい酒飲めそう)。
「何だこの画は…!?」と刺される瞬間が何度もあって素晴らしい。故郷の村が襲われたことをぼんやりと表現する人形には、とにかく蝿がたかっている。虐殺された人々の山は、後景に2秒程度しか映らない。その虐殺の原因が自分にあることを示唆され、少年の抜け殻のようになった姿は、アリ・アスターに与えたダイレクトな影響を感じさせる。
有名な教会焼き討ちシーンも、冒頭の撮影と呼応している記念写真のシーンも当然凄いが、クライマックスの大暴虐に向けて、無辜な人々が手際よく一箇所に閉じ込められていく様の異様。そんな煉獄を経て、主人公とローズ、若々しかった二人が、老人のように汚れて干からびてしまう様に、身体の芯から震えてしまう感覚。
必ず観るべき戦争映画の「悲惨」がそこにあることは間違いない。ただ、「悲惨な戦争映画」の表現はしっかりアップデートされている現代。『サウルの息子』『小さな独裁者』あと『高地戦』辺りも観てみると、その辺りの進化を体感できると思う。
