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宮藤官九郎『不適切にもほどがある!』の圧倒的な適切さ

この上なく「適切」であった『不適切にもほどがある!』最終話。このドラマが、「コンプラもないあの頃=昭和っていいですよね、戻りたいわ」というしょうもない結論になるはずはない、と信じて(祈って)きたんですが、やっぱり宮藤官九郎は裏切らなかった。見事な最終話でした。120点。

令和の価値観で昭和を断罪するのでもなく、その逆で昭和を称揚するのでもない、互いに「寛容であれ」という肯定精神。SNSの世にも、同調圧力の世にも、同じような「不寛容」が蔓延っていて、人々は生きづらさを抱えていることをあぶり出して見せる。色んな角度から、現実を照らしてみせる途方もない労力の注ぎ込まれた仕事だなあ、と脱帽しました。

「生と死」を扱うが故に、感情的にクライマックスとなりそうな部分は前半に集中。特に、純子と渚の昭和での邂逅が、親子の構造を透かしてみせる形になっていて、グッと来てしまう。仲里依紗も相当に上手い(ドラマを通して、改めて見直した)のに、河合優実の抑えた演技がそれを食ってしまう瞬間が何度もあって、何を前景化すべきかがコロコロと切り替わっていくこの場面において、二人の役者の力量がそれを的確に表現するという凄いシークエンスだったと思います。

でも、全体を通して、SFコメディとしてのワクワクが全面に押し出されていたのが、意外だったし、楽しく観れた一番の要因だった気がします。色々な伏線が回収されつつ、いくつかの未解決な謎や、新たな謎も提示されたりして、「ということは?」と、俺はほぼ続編の制作を確信していますがどうか。ひとまず、超気の利いたエンドテロップ「2024年当時」のあまりの美しさに目眩を覚えつつ、30年後を楽しみに待ちますね。

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