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出社帰りに『男女残酷物語/サソリ決戦』『関心領域』を観る。『関心領域』はいずれ書くとして、『男女残酷物語/サソリ決戦』もなかなか馬鹿にできねえというか…。

監督よりも先に音楽監督の名が上がるぐらい、ステルヴィオ・チプリアーニの手掛けたサイケ・ソフトロックの出来が良いので全体的に許しちゃいそうになるが、慈善家の皮を被ったサディストに囚われた女性記者の受難を描いた物語は、一貫して「何がやりたいんだ?」と不安な気持ちに襲われるようなものだが、もっと恐ろしいことに「やりたいこと」はラストで割とはっきりする

毒針のようなナイフなど、産卵時にメスがオスを食べてしまうというサソリの習性がこの映画のテイストを決定している。それが冒頭を飾る派手な舞台装置にも見られるように「ヴァギナ・デンタタ(歯のある女性器)」といった「女性恐怖」のモチーフと結びつき、それを力で克服しようとする男との闘いが、メインテーマとして浮かび上がってくる正真正銘のフェミニズム映画だと思った。が故に、男が一生懸命女を脅かそうとする前半のキレでどこを取っても絵になる前半に比べ、女が潜在的な支配力を発揮する後半は物語が弛緩し、間延びしている。その代わり、髪を切られた女がセクシーさを爆発させる。あんなに震える太もも、初めて見た気がする。

これを機に、ティント・ブラスとかも特集組んでほしい。

MCATM

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