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見事な「省略」。ジンの父である建築学者は何故倒れたのか、ケイシーが好きな建物についてどのように語ったのか、彼女の最もヘビーな瞬間に何があったのか、母とその同僚は何を隠していたのか。夜を共に過ごした二人が、実際どうなったのかすらも描かれない。ミステリーは曖昧にしかしきっぱりとぼかされた末に、その後ろに透けて見えるものはほのめかし程度に語られることで、物語世界が無限に広がっていく。何事も起こりようのないサバービアの日常に埋没する才能と情熱を救おうとする小さな物語。その救いの後ろには嘆きが隠されているのだが、しかし真にフォーカスすべきは、情熱と興味でしかないと、ロリー・カルキン演じる同僚が語っていたではないか

『アフターヤン』を見ようと思いたって、見逃していたコゴナダ監督の前作を見てみたが、これはちょっと非の打ち所のない傑作だった。『サポート・ザ・ガールズ』でも強烈な印象を残していたヘイリー・ルー・リチャードソンと、『Search』のジョン・チョーが主演。

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