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ジョセフ・コシンスキー『トップガン マーヴェリック』/ロッキーを見習って欲しい

大ヒットおめでとうございます。多くの映画ファンを敵に回すような感想で恐縮なんだけど、個人的には全く合わなかった。マーヴェリックの成長しなさを「なんとなく」肯定してしまったように見える前作の体育会系ノリが心底合わなかったので、その直感に従って、観るの止めればよかった。大変落ち込みました。隣で同窓会やってるおじいちゃんたちが突然しゃしゃり出てきて、若者たちのパーティーを乗っ取ってしまった現場を見させられているような気分で。

何だろうこのモヤモヤは、と思っていたんですけど、あれです、クリードに対するロッキーを見習って欲しいってことです。冒頭、マッハ10超えの大暴走からも明らか、マーヴェリックは前作同様の男であって、俺はもう諦めた。こいつは変わらん。彼は変われないのだから速やかに強制退場させた上で、若者たちに何かを託していくような話になるのかな、なるなら乗れるかもなと思って耐えてたんですけど、結局「隣の若者パーティー乗っ取り」。前作で主人公に対して感じた不快感を結局肯定してワッショイしちゃうわけだから、まあ部外者は黙ってろってことなんだろうね。

マイルズ・テラーとジョン・ハムはMVP。何をやってても作り物臭さを感じさせるグレン・パウエルの活躍が見れたのも嬉しい。空中戦の描き方もヴィジュアルも見事なのは間違いないし、「何をどうすれば成功か」がはっきりと提示される脚本も、前作よりは遥かにまし。命を賭してまで向かう戦いの内容(「ならず者国家」の「核兵器」の「3メートル四方のターゲット」というキーワードだけが空虚に響く)があまりに空虚過ぎて、「死なずに頑張れ!」とは思うが「なんのために?」という疑問は拭えないけど。

あと、ペニー・ベンジャミンの件は、みんなどお?あれ、全カットでも何の支障もなくない?ちょっとした一言にガランガランと鐘鳴らして「全オゴリね。よろ」みたいなのって、一般的な現代アメリカで通用する仕組みなのだとしたら、俺はもうアメリカには怖くて行けない。「やな女」って思ったから、二人の恋愛は一貫して乗れないし、無駄だなって思った。「映画には恋愛要素が必須!」って思ってる老人たちに、またしても土足で踏み込まれたような気分になったよ。徹底して、俺は客じゃないってことだろうなあ。トム御大に関しては、次のイーサン・ハントに期待して寝ますわ。おやすみなさい。

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