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重くいなたいギターをバックに、気だるそうな主人公が身支度を始める。イミテーションとしてまとったホームコメディのような軽妙さが、いつの間にかクローネンバーグ的な「身体変容ホラー」のグロテスクな悪夢に侵食されている。『RAW』ジュリア・デュクルノーの短編デビュー作。思春期の不安定な精神が見せる妄想のようにも捉えられる微妙なラインで物語が移ろい続ける点で、二作は共通している。観客の不安も、粘液のように、精神にまとわりついて離れない。

主人公Junior=Justine(「ジャスティーヌと呼ばないで!」)を演じるギャランス・マリリエは、『RAW』でも同名の主人公を演じていて、新作『TITANE』にも同名で登場するとのこと。今年公開の『TITANE』、楽しみですね。

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