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キング・オブ・コントの会

キング・オブ・コントを旗印に、ダウンタウン松本人志を筆頭にした堂々たるメンツが一同に介し、新作コントを披露する3時間の特番。失政続きのKOCが果たしたほぼ唯一の意義だったのではないか、と思ってしまうほど、充実した時間だった。願わくば、このメンツが全員揃う必要はないので、定期的に(1クールに一回ぐらい)観たい。出てない人もいるっしょ。バッファロー吾郎とか、(劇団)かもめんたるとか、コロナのかまいたちとか、去年王者のジャルジャルとか、さ。

実力はお墨付きの人たちなので、表現力は申し分ない。特に、じろう(シソンヌ)の演技の幅と華には驚かされた。「部長の妻」に「寿司職人」。彼が演じれば幅が生まれ、各キャラクター全く別種の実在感がある。ロバート秋山が特番のMCを務める架空のテレビ番組に、大勢の架空の芸能人が出演するコントも素晴らしかった。秋山の強みは、演技の範疇で言えば自らの得意分野に持ち込んで寝技で勝つところにあると思っていたが、ロッチ中岡をミュージシャンに、東京03飯塚をマナー講師にする、などという配役眼の確かさにもあったんだなと感心した。

松本人志による書き下ろしの新作コントは台本こそ緩いが、だからこその瞬発力と対応力が驚異的。特にバイきんぐ小峠との二人芝居『管理人』は、序盤の不条理天丼を切り裂くような後半の展開に唸った。やはり、松本人志には、映画を撮って欲しい。今までのことをすっかり忘れてしまったかのような体で書くけど、映画を撮って欲しい。願わくば、隣にいる人を換えて。彼のセンスを、適切に「映画」というフォーマットに落とし込める才能は、今の日本映画界には存在すると思う。

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