供述によるとペレイラは…

新聞社で報道に携わっていながら、世間とは距離を取り続けて生きている一人の平凡な初老男性に訪れる、ささやかかつ決定的な変化。作中では「別のエゴに主導権を握る」と描かれたこの変化は、表面的には英雄的な所業に見えるけれども、そこまで多くもない文字数の中で重層的に描かれる彼の心のうちに、単なるヒロイズムとは異なるタイプの契機をいくつも見出すことが出来る凄み。ここまで心を打つのは、丁寧な心理描写と会話劇に依る外堀埋め作業が完璧に機能しているからだろうなと、感服した。

アントニオ・タブッキの1994年作。短めの作品なので一気読み。とても映画映えする題材なので、マルチェロ・マストロヤンニ主演で映画化された作品も機会があったら観てみたい。完全に現代日本の話として読んだ。

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