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『ナイブズ・アウト:グラスオニオン』/段取り良すぎ系ミステリー

一言話しただけでネタバレに直結しそうな、まさに新型燃料のような危険物なので物語には一切触れない。「確かに面白いが、色々難あり」だった前作『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』の100倍は良かった。勝因はシンプルに脚本。まさに「玉ねぎ」のように何重にも階層化された時系列ミステリーで、「おや、おかしいな、違和感あるな」と思ったところは大体ヒント。『007』ダニエル・クレイグ演じる名探偵ベノワ・ブラン。ポワロやアティカス・ピュント的な奇人癖が控えめになっていたところはやや期待はずれだったものの、パーティーを台無しにする序盤の奇行を皮切りに、チャーミングで超人的。俺が名探偵に求めているもの。どんでん返し、という以上に「段取り良すぎ」。結末のカタルシスにも、「信用」についての複雑な渋みが混入していたりして、「重層的」という修辞が一番しっくり来る傑作ミステリーでした。

ちなみに、前作の吐瀉ムービーっぷり(謎解きに関係してくる、という最悪の展開…)があったので身構えていたんですが、結論から申しますと「1ゲロ(ノービジュアル)&ちょいイチャ(ノーおっぱい)」でしたので、言葉遣いとか気になるところはあるものの、小学生の子どもとの鑑賞も問題なかったです。(こういう情報、欲しいよね…)

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