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Ham on Rye

若者たちは「Monty's」というレストランを目指して歩いている。不相応にめかしこんだ彼らが歩くのは、パーティーに参加するのがその目的のようだが、肝心のパーティーの内容は靄がかかったように観客には明らかにされない。そこでは男女の出会いがあるらしい、という情報だけが辛うじて伝えられる。足を怪我した少年、自閉気味にコミュニケーション不全を抱えた少年、苛立つ少女、様々な若者が一様にMonty'sを目指して歩いている。

主人公ヘイリーとその友人二人も皆と同様、郊外から林を抜けてMonty'sへ向かう。途上で、「I'm happy」であることを告げるだけでただただ中身のない姉からの手紙を何度も繰り返し読んだり、知らない家にトイレを借りに行ったりする。ヘイリーは、Monty'sでの会に気乗りがしないことを告げる。

皆が集まったMonty'sで、その「儀式」は行われる。順番が着た男女が好きな異性を指差し、お互いの承諾を経て隣室へ消えるという婚活みたいなパーティーだが、様子はおかしい。輪になって妙なダンスを踊り、暗い部屋で光源を見つめた後、手を取り合って夕闇の街に溶けるように消えていく若者たち。ある種のペイガニズムすら感じさせるこの儀式の目的や背景は語られず、どことなく第二次性徴的なジトッとした不気味さを漂わせながら、街に夜が訪れる

よくあるアメリカのティーン・エイジャーを扱った映画かなと観ていたら、不気味なパーティーシーンを境に、全く異なるテイストの映画になる。全体的にどこか歯車が狂ったような、まるでシャーリー・ジャクソンの小説のように歪な印象を受ける映画。消えていく若者と取り残された若者。成長と卒業に伴う、説明できない生理的な嫌悪感について描いた作品のように感じた。Tyler Taormina監督作品。

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