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ファイナル・カット

400本を超える映画のフッテージを継ぎ接ぎして、「物語」の類型を炙り出そうとする試み。信じられないぐらい偏執的な編集の連なりが、実にありがちな「男女の出会いと別れの物語」を描き出す。女性との出会いのシーンは、『ギルダ』においてリタ・ヘイワースが「Put The Blam On Mame」を歌い出すシーンをベースに、全く別のフィルムの女性たちが実に見事なリップシンクで繋いでいく。男性がシャワーを浴び、身支度をすると鳴り出す「サタデーナイトフィーバー」のリズムに併せて、数多くの銀幕のスターたちがステップを踏む。その執拗なカットアップがあまりに滑らかになめされているが故に、そのドラマツルギーの平坦さがゴリゴリに浮かび上がってくる様がこの作品の醍醐味だと思った。面白かった。

『タクシデルミア ある剥製師の遺言』のパールフィ・ジョルジュ監督作。作品コンセプト的に、ガイ・マディン『The Green Fog』と類似しているが、個人的にはやっぱり歪さにおいて、『The Green Fog』の方が上だなとは思った。とは言え、これも傑作。青山シアターで無料公開中。

https://aoyama-theater.jp/pg/4303

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