銀兵衛『おっぱいファイアウォール』

M-1の三回戦観てて一番「明瞭」に響いたのが銀兵衛(「こいつの異様が教室に充満しきる前に」)で、あまりに凄すぎたので既に終わっていた単独『おっぱいファイアウォール』の配信を買った。以前は「ガクヅケの後輩」としてしか認識してなかったし、ネタもあんまり響かなかったんだけれども、しばらく観ないでいるとこれだ。人間ってすごい。解散が本当に悲しい。

日常をあらぬ方向に深堀りしてしまったり(「雪見大福」)、ノスタルジックな記憶をマルチバース的に解釈で捻じ曲げていったり(「宇宙」)、仮説を遊ばせた結果非条理な世界が産み落としたりする(「フルボッキスキップ」)彼ら。心地よい倍音成分を多分に含んだ小松の声に乗って、この手の話が目まぐるしく展開していく。その「めくるめき」を体験するのが、銀兵衛の楽しみ方であったことは疑いようがない。

観流してしまうとあっという間に忘れてしまいそうだったので、導入部を記録しておいた。YouTubeにあるような動画に比べたら全然粗いんですけど、気になる人は配信買ってみると良いと思います。24日まで。

  • とうもろこし:人は両手と口が汚れている状態の時が一番冷静という話

  • 固めのプリン:「固めのプリン」というワードに自力でたどり着けたかという話。ツッコミ(ツッコミ?)のあゆむがちゃんと喋るのはこのネタのみ

  • フルボッキスキップ:「スキップが出来ない」と言っていた子どもが、おじさんになると勃起不全を嘆くようになるが、スキップ出来ないまま勃起しなくなった大人はどうなるのか、という話

  • 雪見大福:コンビニの帰り道の会話で脳内『リズム天国』が終わる短めの話

  • 子どもを作ろう:「子どもを作ろう」というのではなく、「個室ビデオでVRを観るおっさんを作る」と言うべきだろう、という話

  • ビンゴ大会:4リーチしてた女の子が景品をもらう時の顔から導き出した仮説

  • 宇宙:絵画の授業で紙を黒く塗りつぶした「宇宙」に、黄色いシールが貼られた話

  • アクアパッツァ:アクアパッツァを作れる女子は、大学をサボっていたからに違いないという話

  • たまごっち:職場に向かう電車を途中下車した人だけが、空にあるたまごっちを発見する話

  • オフ:先輩とクレープを食べに行くが、想像されたことのない味があるという話

  • 公園:ちっちゃい公園に「全員いる」という話

ほぼアイディアレベルの粗いネタばかりではあったんだけど、やっぱり要所要所に鋭い仕込針のような言葉が潜ませてある。特にラスト「公園」は、本当にワンアイディアの言葉遊びなのに、そこには狭い「宇宙」が広がっていて、感動的ですらあった。真意不明ながら、最後の最後のセリフが、解散を意識した発言のようにも聞こえて、妙な哀愁で閉じられてしまった。

あーあ、惜しいなあー。もっと観たかったなあー。二人とも芸人は続けるみたいなので、今後の活躍に(マジで)期待しています。

    MCATM

    Arrrepentimiento / drawing4-5 / pelepopの主犯。

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