ライトハウス

俺は好きなんだ。前作『ウィッチ』で、ベルイマン的な退廃と寂寞の中に宿る恐怖を描き出してみせたロバート・エガース。バランスが悪く不格好、決して完璧ではないけど、どうしても頭から離れない映画。『ライトハウス』を観てても、やっぱり歪だなあ、と思うけど、その徹底した美学と語り口の禍々しさに、所謂「商業映画的な完璧さ」を求めるのは無粋だなあとすら感じてしまう。壁の絵が語りかけてくるような、そんな厳然として霊的な意志がそこにはあるはず。
灯台守として人里離れた孤島にやってきた男二人。ウェレム・デフォー演じる年長の男は、ロバート・パティンソン演じる若者をこき使い掃除や重労働を押し付ける一方、灯台の灯りには決して触れさせようとしない。不満を抱えた若者。傍若無人で下品な老人。たった二人しかいない絶海の孤島で、二人は反発と協調を繰り返しながら、